耐久性完全無視でグリップに全振り! たった10km前後で寿命を迎える「Qタイヤ」ってなにもの? (2/2ページ)

Qタイヤがレースを面白いものにしていた

 また、グループCのレースは「時速400kmの燃費レース」といわれた。Cカーは、レースで使用できる燃料の量だけが制限されていて、エンジンの排気量やターボ、NA、気筒数、レシプロ、ロータリーなどは自由だった。

 そんなCカーはやがてターボ全盛となり、予選時だけは燃費を気にせず、フルブースト。そのMAXパワーは1500馬力にも達し、FSWのストレートでは400km/hを超えてもなお加速し続けていたとのこと。

 そこからわずか100mちょっとで1コーナーを旋回できる速度まで減速できるグリップ力をCカーのQタイヤはもっていた! その減速Gの高さといったら、まさに比類なし。

 その予選アタックを支えていたのも、Cカー用のQタイヤ。

 グループAでもR32GT-R同士が戦った、1993年(グループAラストイヤー)は、ブリヂストン、ダンロップ、アドバン、トランピオの各タイヤメーカーが大激突。「タイヤ戦争」と呼ぶのにふさわしい、激戦を繰り広げ、レースウィークの半分はタイヤテストということも。当然、Qタイヤの開発も過熱していったので、予選からワクワクして観戦したのを覚えている。

 いまではマシンが速くなりすぎたのと、環境面にもネガティブなので、Qタイヤが解禁されることはないだろうが、タイヤライフと引き換えに、驚異のグリップ力を発揮したQタイヤは、ある意味おばけ。

 オバケのQちゃんタイヤだったといったら、たとえが古すぎるだろうか???


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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