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耐久性完全無視でグリップに全振り! たった10km前後で寿命を迎える「Qタイヤ」ってなにもの? (2/2ページ)

耐久性完全無視でグリップに全振り! たった10km前後で寿命を迎える「Qタイヤ」ってなにもの?

この記事をまとめると

■かつてのモータースポーツでは予選専用タイヤ「Qタイヤ」が使用されていた

■驚異的なグリップ力を発揮する反面サーキット1~2周しかもたなかった

■いまはレギュレーションで使用禁止となっている

一発勝負のための専用タイヤがあった

 最近聞くことがなくなったが、かつてQタイヤと呼ばれるタイヤがあった。旧タイヤならわかるが、Qタイヤの「Q」は何の意味? Quiz(クイズ)? Question(クエスチョン)? Quality(クオリティ)? まったく余談だがベビーチーズのQBBは「Quality’s Best & Beautiful」の略。千葉県のブランド落花生に、ピ-ナッツを超える「Qナッツ」というのもあるが……。

 脱線しすぎたが、Qタイヤの「Q」はQUALIFYのQ。つまりレースの予選専用タイヤのこと。

 タイヤの最大許容速度を示す速度記号にも「Q」があるが、速度記号の「Q」は、最高速度160km/hまでのパフォーマンスの低いタイヤ。乗用車用なら、最低でも速度記号S(最高速度180km/h)もしくはT(最高速度190km/h)以上のタイヤを履いてほしいところ。

 さて、レース用のQタイヤだが、Qタイヤは、温まりやすくて、非常に柔らかいコンパウンド、つまりものすごいグリップ力を発揮する反面、タイヤのライフが、サーキット1~2周ぶんしかもたないという極端なタイヤ。

 予選の1周だけずば抜けたタイムが出れば、あとはお役御免という、目的意識は高いが、野暮で下品なタイヤで、エコ精神の真逆ともいえるタイヤだった。

「だった」というのは、すでに廃止されているからで、F1では1992年にレギュレーションで禁止。

 ただ1980〜90年代初頭には、国内レースでもトップカテゴリーに普及していたタイヤで、F3000、グループC、グループAなどでも、Qタイヤを装着して予選アタックに臨んでいた。

 ミハエル・シューマッハは、F3のチャンピオンになって、F1にステップアップする前、1992年に日本のF3000にスポット参戦している。そのとき彼は「F1を目指しているので、予選専用タイヤを勉強したかった」と語っていたのは、レース界ではけっこう知られている。逆にいえば、それだけQタイヤは特異な存在で、使い方も特殊だったといえるだろう。

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