大型トラックには排気ブレーキという機能が存在する
商用車では、中型以上の大型トラックなどで採用されるエアブレーキがある。言葉どおり、空気の力で作動するものだ。ことに大型トラックは、荷物を満載したときと空荷のときで重量が何トンも違ってくるので、満載時のブレーキ性能を重視したのがエアブレーキだ。
空気をポンプで圧縮し、これを貯めておき、油圧ブレーキのブレーキフルードと同じように高圧空気を車輪側のブレーキ装置へ送って、パッドやブレーキシューを動かして制動する。
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余談ではあるが、空気を使って減速し、止まるという意味では、車体の後端などに翼を設け、減速時にこれをもち上げて抵抗とし、速度を下げることに使う場合もある。ただしこれは、市販車というより、レース車両や速度記録に挑戦するクルマの場合で、たとえば米国のドラッグレースでは、ゴール後にパラシュートを開く事例もある。
そのほか、商用車の減速機能として、大型トラックではリターダという仕組みがある。ブレーキの補助機能で、排気ブレーキとして知られる。これは、排気バルブを閉じることで生じるディーゼルエンジンの抵抗を使い、ガソリン車のようなエンジンブレーキを利かせる仕組みだ。あるいは磁石を使い、駆動輪に動力を伝えるプロペラシャフトに抵抗を与え、減速に利用する方式もある。これらにより、エアブレーキの効果を高めることができる。
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大型トラックには、何十トンという総重量に耐えるブレーキ機能があるが、それでも停止するまでには余分の制動距離が必要になる。大型トラックやトレーラーが、高速道路などで車間距離を開けて走行するのはそのためだ。その直前に乗用車が車線変更で入り込むと、万一のときには止まり切れない可能性がある。
また、満載と空荷で重量差の大きい大型トラックは、ブレーキの利き方も変わるので、熟練した運転技量が求められる。