学生たちの血と汗と涙の結晶! 日産自動車大学校の学生フォーミュラ用EVマシンは感動必至の力作だった【大阪オートメッセ2025】 (2/2ページ)

「Natck-F E14」はチームの血と汗と涙の結晶

 駆動用バッテリーは中国製のものを別途調達しているが、「当たり外れが大きく、状態のいいものを選別する必要がある」(遠藤先生)。また、重量増を避けるため、過度にサイズの大きいバッテリーを搭載することはできず、しかしそうすると高い負荷で走行すればすぐに充電が切れてしまう。「エンデュランス(耐久性)・効率」の動的審査では、最終ラップにのみ全開で走るなどの対策が必要」だという。

 だが、それ以上に大変なのが、多くの学生フォーミュラ参戦チームにとって鬼門とされている、車検をクリアすることだ。

 学生フォーミュラでは、各大学・自動車大学校がレーシングカー開発ベンチャー企業という想定のもと、安全性や信頼性、耐久性を含めた車両の走行性能はもちろん、 販売戦略、コスト管理、デザインを含めた開発能力が、市販車の企画・開発さながらに求められる。とくにEV部門では、電動パワートレイン専門の「電気車検」があり、漏電対策など安全性に関連するレギュレーションが非常に厳しい。

 しかも、日産京都自動車大学校の場合、「自動車整備士を養成する学校のため、カリキュラムが政府より指定されており、また整備士資格を取得することが優先されます。ですので、学生が学生フォーミュラのマシン制作のために割ける時間は、一般的な大学のチームよりも少ないんです」(遠藤先生)。

 そのため、2022年までは車検をクリアすることができず、また2023年大会では車検こそクリアしたものの高電圧回路のシャットダウンが頻発。動的審査でほとんど走行できなかったという。

 しかし2024年大会では、「チーム史上初のエンデュランス完走」を目標として、電動パワートレインの信頼性向上や軽量化を主眼にマシンを開発。見事に動的審査への出走を果たし、最後の「エンデュランス・効率」への出走まで進んだものの、ステアリング系のトラブルで黒旗中断。だが総合42位という結果を残している。

 そんな、日産京都自動車大学校フォーミュラチームの血と汗と涙の結晶である「Natck-F E14」も、同校ブースで要注目の1台であることは間違いない。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

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ホンダS2000(2003年式)
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