関西のプライドが詰まったこだわりのシビックたち
続いては関西のみならず今や世界的に認知度があるFIVE MART。大阪JDMという自社ブランドのパーツも多数展開しており、海外でも大人気だ。お店にも連日多くの外国人観光客が訪れている。
同社のブースにはシビックが2台とインテグラ(DA1)、レストア中のシビック(EK9)のハコが展示されていた。
1台目のシビックはワンダーシビックと呼ばれる3代目シビック。25Rという1.5リッターのベースの箱にB16Aをスワップしたもので、お客さんのクルマだ。走りも見た目も徹底的にこだわっており、ここまでフルノーマルの状態から仕上げたとのこと。随所にワンオフパーツやアメリカ製のパーツなどを拵え、唯一無二のワンダーとなっている。
2台目はEK4だ。あえてタイプRではないところがまた渋い。エクステリアはSPOON製のリップスポイラーにノーマルのバンパー(通称:髭付き)、純正OPのリヤゲートスポイラーとSPOON製のリヤスポイラーを装備した一見ノーマル+α程度のエクステリア。
あえて派手にしないのは、このクルマが「90年代」をテーマにしているから。実際、車内のシートはBRIDEのジータ2を2脚インストールしているなど、内外まとめて当時仕様となっている。似たようなことを筆者も愛車でしているので、これには感涙。
ちなみにこの渋さでありながら、オーナーは23歳の若者だという。なお、こういったオーナーのこだわりを叶えるため、FIVE MARTでは要望に沿ったパーツを探す徹底ぶり。理想のシビックを探すとき、きっと強い味方になるはずだ。
ブース奥に展示されているバラバラのEK9は、同社の代表がこれから乗ることを前提にレストア中だというハコだ。事故車かつ放置期間もありそれなりにボロいとのことで、レストアの過程をSNSを通じて発信し、仕上げていく過程を多くの人と楽しむ目的でプロジェクトが進行している。2025年末に完成予定とのこと。
現在は下まわりだけ完成しており、その様子を公開していた。ちなみに、時間と費用はそれ相応に発生するが、お客さんのクルマもレストアしてくれるそう。EGはもちろん、EKも30年選手に近いので、長くシビックに乗りたい人は必見だ。
ちなみにFIVE MART代表曰く、やっぱりEGとEKが人気で、相談に来る人の多くは20〜30代。ワンダーやグランドは維持が難しくなっているので、この2台が現状まだ乗りやすいというのが大きな理由。
「昔はシビックなんて数十万で買えたので、それこそ環状やら山やらサーキットやらで楽しむ人が多かったですけど、今はもうそういうクルマじゃないですね。うちに来るお客さんは8割は街乗り、2割がサーキットですね」と語る。
「それと、最近はアメリカより東南アジアでのホンダ熱が半端じゃないですね。タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア。この辺りからのオファーが異常です。アメリカで流行った文化が今になってあちらで盛り上がってる印象です。今回出展しているインドネシアのNMAAさんからも、今年ホンダ車のイベントをやるから来てくれと、さっきオファーを受けました(笑)」と答えてくれた。今、世界的に1980〜90年代のホンダ車がキテいると、お店をやっていて感じているそうだ。
EXCEEDのブースでは、お菓子のデザインを模したEK9と、同社のパーツやアメリカ発の人気ブランド、バトルクラフトのパーツで武装したEK9の2台が展示されていた。どちらのクルマも、アメリカ人のJoey Lee氏が率いる、カスタムカーなどを紹介するメディア「Chronicles」にて掲載、プロデュースされている話題の2台だ。
使用されているパーツやマシンメイクは随所にこだわりが感じられる仕立てとなっており、誰が見ても素直に「格好いい」と思えるクルマ作りは、同車種オーナーたちにとっていい刺激になりそうだ。
その裏で、長野工房はEK4とEK9を展示。「マッハキャリバー1号」「マッハキャリバー2号」と名付けられた2台は、型式と色違い以外はほぼ同じパーツで構成というコンセプトで、走りにも魅せる方向に振られている。目視ではわかりにくいが、同社の職人がスポットを増したボディやワンオフマフラーの装着など、中身にこだわった2台だ。
会場内には、筑波サーキットやセントラルサーキットでNAのFF車最速タイムを記録するなど、輝かしい成績を残しつつも、今シーズンでラストランとなったTEMPLEのASLAN SPIRIT EG6も展示されている。ワンオフのカナードやエアロパーツで武装した同車の迫力は半端ではなく、こちらも多くの人が集まっていた。
SNSで最近話題のおばけのキャラクターをモチーフにしたGHOSTEXPODのブースでは、シビッククーペ(EJ1)が同ブランドのデモカーとして展示されていた。ブランド所属のメンバーの愛車とのことで、ワイヤータックされたB16Aが鎮座。全体をスタンス系のテイストにまとめ上げ、魅せる方向に振った1台だ。
前述のインドネシアのNMAAからは、EG6にK型エンジンをスワップしたクルマを現地からもち込んで展示。エクステリアは今やヤフオクで札束の殴り合いをしないと手に入らない、無限の当時モノのパーツで統一されており、お宝の塊となっていた。もちろんマシンメイキングも完璧で、ショーカーに相応しい佇まいであった。
会場内ではこのように、「大阪=シビック」といわんばかりのシビック祭り状態で、東京オートサロンでは見ることがないクルマが数多く集結し、「このシビックを見に来た!」といっている人もチラホラ見受けられた。
さらに特徴的なのは、これらのシビックの多くは15インチないし16インチの小径ホイールでまとめ上げ、外装も極力ノーマル+α程度。多くのクルマが1980〜90年代のホンダ車特有のデザインを生かす形としている点に、並々ならぬこだわりを感じる。
シビックファンは是非1度、”本場のシビック”を見に、大阪オートメッセに足を運んでみてほしい。