WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

シリーズにパラレルにストロングにマイルドって何が違う? 沢山ある「ハイブリッド車システム」の種類をスッキリ整理してみた

シリーズにパラレルにストロングにマイルドって何が違う? 沢山ある「ハイブリッド車システム」の種類をスッキリ整理してみた

この記事をまとめると

■ハイブリッド車は1997年にトヨタが発売した初代プリウスの影響で広く認知された

■ハイブリッド車のシステムは「シリーズ」「シリーズ・パラレル」「パラレル」がある

■「マイルドハイブリッド」はエンジン主体で「ストロングハイブリッド」はモーター主体

ひと口にハイブリッドといっても種類はさまざま

 ハイブリッドの言葉が広く認知されるようになったのは、1997年に、トヨタが世界初の量産市販ハイブリッド車(HV)プリウスを発売してからだろう。

 とはいえ、ハイブリッドへの取り組みでは、1975年の東京モーターショーで、センチュリーのガスタービンハイブリッドという実験車をトヨタは公開している。その2年後の77年に、今度はトヨタ・スポーツ800のガスタービンハイブリッド車を東京モーターショーに出展した。73年に第四次中東戦争が起き、石油危機が勃発したため、環境問題というより、原油価格が約2倍に高騰することによる省エネへの対処であったといえる。

 ところで、そもそもHVの祖といえば、フェルディナント・ポルシェ博士が、オーストリアのローナーポルシェとして最初に名を冠したクルマが電気自動車(EV)であり、その直後、HVを製作したことにはじまる。EVは1900年のパリ万国博覧会に出展され、HVはその2年後に誕生した。

 つまり、HVの歴史を振り返ると、古くからあった自動車技術になるが、当時のHVとプリウスとでは、ハイブリッドの方式が異なる。

 センチュリーやスポーツ800、そしてポルシェが採り入れたハイブリッドは、ガスタービンやガソリンエンジンで発電機を稼働し、その電力でモーターを駆動して走る仕組みだ。これを、シリーズ式という。モーターだけで走る点では、EVに通じる駆動方式になる。日産のe-POWERがこのシリーズ式だ。

 機構としてはシリーズ式にみえるが、高速での一定走行などエンジンの効率が高くなる場面で、エンジンだけで走行できる機能を備えるのが、ホンダや三菱が採用する基本はシリーズ式的なハイブリッドだ。ただし、三菱はプラグインハイブリッド車(PHEV)である。

 一方、プリウスが97年から市販車として採用したのは、エンジンを発電用としても使うが、走行の動力としても利用する方式で、これをシリーズ・パラレル式という。このため、発電や回生に使うモーター/発電機と、駆動用モーターと、ふたつ備える。

 では、パラレル方式は? というと、発進や加速などでエンジンの負荷が高まり、燃費が悪化しやすい場面でモーターが駆動力を補助することにより、エンジン出力を補う方式だ。

 市販のプリウスが登場する前の95年に、トヨタがモーターショーの出展車として展示した試作のプリウスは、このパラレル式で、CVT(ベルト式無段変速機)を備え、電源はバッテリーではなくキャパシターを使っていた。

 以上のように、HVとひと言でいっても方式がさまざまある。

 このほか、マイルドハイブリッドと呼ばれるHVもある。これは、エンジン車で12ボルト(V)の補器用鉛酸バッテリーを充電するため装備されている交流発電機を改良し、モーターとしても機能するようにしたISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター=モーター機能付き発電機)を取り付けることにより、アイドリングストップからのエンジン始動と、発進や加速でエンジン出力を補助する方式だ。機能としてはパラレル式と同様といえるが、主役はあくまでエンジンという位置づけになる。

 マイルドに対して、ストロングとかフルという言葉でHVをいうことがある。これは、ハイブリッド方式の違いを問わず、エンジンとモーターを最適に活用し、ハイブリッドを前提とする車種をいう。いわば、エンジンとモーターのいいとこ取りをして、燃費や動力性能を高めようとしたクルマだ。

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了