トヨタbZ4Xでケーススタディ
■「EMBRYO」の「GEOMETRICAL organic」という概念を実車に落とし込む試みを「MODELISTA CONCEPT ZERO」で実践
さて概念を立体モデルで表現する「EMBRYO」が完成しましたが、この段階ではまだ、実際のMODELISTAの製品のイメージと結びつけるのは難しいでしょう。
そこで、その概念をより具体的なカタチで見てもらうため、トヨタの「bZ4X」をベース車として、実際の製品デザインのケーススタディをおこないました。
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こちらの「CONCEPT ZERO」は、先の古長さんと同じデザインクリエイトグループの主任を務める久世さんがデザインの取りまとめを行ったそうです。
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その久世さんに、「EMBRYO」の概念が明快に現れている部分について教えてもらいました。
まずはサイドスカートの形状がポイントで、大きくV字を描きながら前から後ろに跳ね上がるキャラクターラインに注目。
ライン自体はエッジが効いていて硬質な印象ですが、その両側の面はなめらかな曲面で構成されています。
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このラインは、セオリーを優先させるならボディのプレスラインに沿った形状にしますが、そこをあえて外すことでアクセントとしているそうです。外しながらもまとまりを保っているのは「EMBRYO」の存在も効いているのでしょう。
こういう線や面、角Rなどの意図的な変化は全体にちりばめられていて、触れてみたくなる造形に仕上げられています。
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そしてもうひとつのポイントが、前後のバンパーに埋め込まれた、明滅を繰り返す動きのあるイルミネーションです。
これはまさに「EMBRYO」で表現した左右非対称の具体例です。アウトラインを非対称にすると異質な感覚を覚えてしまう傾向が高くなってしまうため、さりげなく中のパターンを非対称にデザインしています。
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そしてこの「CONCEPT ZERO」は内装にもその概念由来の仕掛けが仕込まれていました。助手席のドアを開けてダッシュボードの面を見ると、バンパーに埋め込まれたパターンがあしらわれていました。これは淡い雰囲気を感じてもらうため、自ら発光するのではなくプロジェクターで投影する方法を採っています。これも「EMBRYO」で採用しているアイディアです。
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■2つの展示物を引き立てつつ、ブランドの“新化”を感じさせるブースの演出
今回のMODELISTAブースでは、主役の2つの展示物のほかにも、「上質・洗練」や「五感に訴える」という基本テーマが感じられる演出を各所にちりばめているというのもポイントです。
たとえば頭上に設えられた大きな丸い面の照明は、ただ明るく照らすのではなく、柔らかく明滅を繰り返し、明るさの変化を演出しています。これにより展示物の陰影に変化が出て面の表情が変わるのを楽しめるでしょう。
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また、ブースに足を踏み入れたときにフワッと心地の良い香りがするのに気付く人がいるかもしれません。これはMODELISTAの「上質・洗練」をイメージしたアロマが数カ所に仕込まれていることによる嗅覚に訴えかける演出で、この柑橘系とスパイシーなウッド系のアクセントが印象的な香りは、「#0 URBAN OASIS」と名付けられたオリジナルだそうです。
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