やっぱり日産はこうでなくちゃ! 80年代に登場した「ガルウイング」「タッチパネル」「バイフューエル」とてんこ盛りコンセプトカー「NX21」の勢いがヤバイ (2/2ページ)

特徴的なギミックが多数

 そして、セダンといいつつ、ドアは前後席をガバっと開けるガルウィング方式を採用。21世紀のテスラがこのアイディアを取り入れていることはご承知のとおりでしょう。NX-21の場合は、低い車高をネガにすることなく乗降性を確保、といったメリットがあるはずです。フロントシートは乗降性をさらにアップしようと、開口部に向かって回転してくれるギミックも。これまた、いまでは福祉車両で見られるアイディアです。

 さらに、インテリアもまた1980年代にしては未来を予見したかのようなギミックが満載です。タッチパネルの多用に始まり、バックカメラやサイドミラーのモニター、またATはスティックでなくボタン式という未来っぷり。いずれも現代のクルマが採用しているスタイルであり、NX-21の先見性をよく表しているかと。

 なお、プロポーザルのみで、実際に作られることはありませんでしたが、NX-21にはタービンエンジンをリヤに搭載するアイディアがありました。しかも、ガソリンやディーゼル、あるいはアルコール燃料まで対応可能という設定で、これまたエネルギーの多様化を見越したような話。もっとも、出力は100馬力程度と設定されており、いささか控えめな印象ではあります。

 日産社内でも好評だったNX-21は、そのデザインエッセンスやギミックの数々が市販車にフィードバックされています。

 前述の通り、パルサーEXAのテールライトはNX-21と同じくスリットをデザインモチーフとしたもの。また、よく見ればパルサーのクーペ仕様の後半部はNX-21のスラントしたリヤエンドとも似通ったもの。未来コンセプトのエッセンスをここまで巧みに市販車へ反映させるとはなかなか見事な仕事でしょう。

 ちなみに、パルサーEXAといえば、2通りのボディスタイルが選べることがトピックではありましたが、着せ替え出来るのは北米に限ったことでした。日本国内では新車登録時の車体形状と変わってしまうということで着せ替えは叶わなかったのですが、それを差し置いたとしても、デザインやパッケージのよさは記憶に残るもの。

 とどのつまり、あのころの勢いを思い出して、いまこそ「やっちゃえ、日産」とばかりに頑張ってほしいのは決して筆者ばかりではないでしょう。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

文筆業

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三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
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