この記事をまとめると
■馬運車と事故をすると莫大な賠償金を請求されると噂されている
■競走馬の相場を考えると対物無制限の保険であればカバーできる可能性が高い
■精密機器や美術品を積んだトラックには近寄らないのがベストだ
競走馬を積んだトラックと事故すると賠償金が桁違いって本当?
「馬、精密機械を運んでいるトラックと事故を起こすと、桁違いに高額な賠償金を請求されて人生が詰む」……といった話を聞いたことがないだろうか?
事故を起こして被害を与えた場合、賠償金を請求されるのは当然だが、競走馬を運んでいるトラックにぶつけると、「人生が終わる」ほどの請求がくるのか調べてみた。
まずトラックの価格。
競走馬輸送の専用車両のことを「馬運車(ばうんしゃ)」という。馬運車は基本的に受注生産のワンオフなのでカタログ価格は出ていないが、1台5000万~6000万円が相場らしい。
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続いて競走馬。JRAのHPによると、もっとも多く取引される1歳市場の平均価格は1236万円。最高価格は3億3000万円(令和3年度 サラブレッド1歳市場成績)。
過去には6億円の価格がついた競走馬もいたそうだが、仮に馬1頭(1236万円)と馬運車一台に被害を与えたとしても、被害額は7236万円と1億円にも届かない。
競走馬が複数走っている様子画像はこちら
2008年8月に首都高速道路でタンクローリーが横転、炎上した事故で、運送会社と運転者に32億8900万円の支払いを命じた裁判に比べれば、驚くほどではない⁉
高速道路を走っているタンクローリー画像はこちら
ただ問題があるとすれば、競走馬の補償に対物保険が使えるかという点だ。
法律上、競走馬は犬や猫などのペットと同じく、『物』として扱われるので、通常通り、対物賠償保険で損害をカバーできるはずだ。
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つまり「対物賠償保険」を「無制限」で契約していれば、経済的な心配はカバーできると思って間違いない。
余談だが、今年1月にF1ドライバーのランド・ノリスが所有するフェラーリF40がモナコ郊外で事故を起こしたシーンがSNSで拡散されたが(運転していたのはノリス本人ではなかった)、F40の現在の価格は250万ドル(約3億9000万円)なので、F40におかまを掘るより、馬運車+競走馬にぶつかってしまったほうが、被害額は少なく済む可能性はある(当然事故が起きてはいけないが)。
フェラーリF40のフロントスタイリング画像はこちら
もっとも、あおり運転など「故意による事故」に該当すると判断されると、保険金が支払われなくなるので、そのときは保険に加入していてもしていなくても、そのドライバーは人生が詰むかもしれない……。
いずれにせよ、相手がどんなクルマであったとしても、事故を起こさないことが一番肝心で、安全運転が最優先。そして任意保険も対人無制限、対物無制限に加入しておくことがマスト。
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そのうえで、馬運車や危険物、楽器美術品運搬中のトラックには距離を置く。また、MRIなどの医療機器の運搬車や、エアサス搭載と記載されているトラックにも近付かないのがベスト。
高級輸入車や初心者マーク、高齢者マーク、挙動不審なクルマにも近づきたくないし……。そう考えると、どんなクルマに対しても十分な車間距離を維持しておくことが、安全運転の鉄則だ。