業販に新たなブランドも参入中
近所に正規ディーラーがないという物理的事情もあるが、やはり業販店の多くでは、そこの社長など経営者を中心にクルマに関する知識も豊富で「オピニオンリーダー」として頼ってくる人も多い。
実際によくある例では、「社長から新車を買いたい」という話も出てくる。正規ディーラーから見ればまさに「労せずして新車が売れる」といった感じで、メリットが大きいのである。
ただし、業販店はたいてい複数のメーカーの業販店を兼ねていることが多い。たとえばスズキとダイハツの業販店を兼ねているところも珍しくない。そこは経営者判断でスズキ車を勧めるか、ダイハツ車を勧めるか顧客の様子を見て判断しているようである。
惜しくも2024年に亡くなられた、スズキの鈴木 修会長は存命中、業販店を非常に大切にし、業販店もそれに恩義を感じていたとも聞いている。そのため、月末でスズキとダイハツが販売台数で激しく競っているときなどには、「オヤジさん(スズキ会長)の顔はつぶせない」として、スズキ車を積極的に勧めるところもあったとか。
スズキ・スペーシアカスタム(3代目)の走行写真画像はこちら
そしていま、輸入ブランドのなかには、一部がいままでの業販的な売り方を率先しているところがある。具体的には、地方のカーライフに関して地域のオピニオンリーダーになっている人に、輸入ブランドの正規ディーラーを開業してもらっているというのである。
そんなオピニオンリーダーを慕ってディーラーに集まってくる人たちに、太鼓判を押して勧めるとなれば、予算や使い勝手さえあえば、そのブランド車に乗り換える人も出てくるだろう。なので、輸入車に抵抗のある地方部で、そういったブランドがよく展開されているとも聞いている。東京では支持する人も目立つ趣味性の高いブランドは、地方部の販売でもそれなりに効果を発揮しているようである。
トヨタやホンダ、日産並みに店舗数を増やすことができないなかでは、業販店ではなくとも、地域のオピニオンリーダーとして厚い信頼を地域の人から得る人が、ディーラーのオーナーになったりすることは、販売促進に効果的なようである。