【試乗】「可もなく不可もない」は最大の褒め言葉! VWゴルフ&ヴァリアントの最新モデルに乗った (2/2ページ)

可もなく不可もないことこそが魅力

 今回試乗した「eTSI」に組み込まれている48V電気モーターは、ガソリンエンジンとターボの極低回転域のレスポンスとトルクの不足を補ってくれます。そのため、発進の瞬間からトルクが満ち溢れ、最高出力116馬力とは思えない推進力に驚かされました。

 これまでベースグレード「active」には直列3気筒が搭載されていましたが、ガソリン仕様はすべて直列4気筒1.5リッターに統一され、116馬力と150馬力の制御が整ったのも朗報です。直列3気筒と4気筒では、質感に大きな差があります。「active」はゴルフの廉価モデルでありながら、チープな印象はまったくありませんでした。

 もちろん、直列4気筒の2リッターターボディーゼル「TDI」も、最大トルク360Nmを発生し、力不足を感じることはありません。

 試乗車として選んだワゴンボディのヴァリアントは、ハッチバックに比べて80kg重くなっています。しかし、むしろ加速感は鋭いです。低回転トルクが有利なディーゼルに加えて、中間トルクを強化するターボが、その加速感の鍵になっています。

 ちなみに、フットワークは可もなく不可もなくと表現したいです。ハンドリングは鋭さもなければ鈍重でもありません。冒頭で紹介したベン図のAとBと同じように、どこにも不満はなく、かといってとくに満足感があるわけでもありません。欠点はまったく見当たらず、それでいてドライバーを高揚させるような刺激もないのです。

 これは決して否定的な意見ではなく、最大の褒め言葉です。フォルクスワーゲンは社名で「国民車」と宣言しています。万人の期待に応えることが使命だからです。

 じつは、ゴルフには刺激に溢れた「GTI」があります。その試乗インプレッションは近日中に紹介する予定です。


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