ただの灯油を運ぶ商用トラックだったのに中古高騰! 趣味人にもカスタム派からも熱視線を浴びる旧車「サニトラ」とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■日産の大衆車「サニー」をベースとしたトラックが存在した

■「サニートラック」は商業車として大ヒットした

■カスタムベースとしても人気が高く中古車相場が年々高値になりつつある

サニトラってなんだ?

 時代の変化にともないその要求も目まぐるしく変化しています。その変化に馴染めなくなった旧い車名がひとつ、またひとつと消えてゆくなか、日産の「サニー」は今でもしぶとい生命力を見せて生き残っています。

 しかし2010年以降は、アジアなどの新興国向けだったり、中東で発表されたりと国内ではすっかりその名前を耳にすることはなくなってしまいました。そんなサニーですが、じつはトラックボディのラインアップがあったことを知っている人はどれくらいいるでしょうか?

 通称“サニトラ”と呼ばれるサニーのトラックバージョンは、日産でも最長クラスのロングセラーモデルでもあります。

 ここではそんなサニートラックにスポットを当てて、ちょっと掘り下げて紹介していきましょう。

■110系サニー顔のトラック、それが「サニトラ」

「サニトラ」の正式名は「サニートラック」。つまりサニーがベースのトラックタイプの車輌です。

 サニトラが生まれた背景は、まず当時の日産の最下層を受けもつ大衆車のサニーの誕生がその源泉になります。当時の日産のベーシッククラスが、経済成長にともなって徐々に排気量と車格が拡大していったため、もっとも手ごろな1000cc以下のポジションが空いてしまいました。

 そこでそのポジションを埋めるべく、もっともコンパクトな車種として1000ccのエンジンを積むサニーが誕生しました。

 そして商用車の界隈でも、中型のトラックと軽トラの間を埋めるちょうどいいサイズのトラックタイプの車両が求められていました。

 そんな市場の需要を受けて生み出されたのが、サニーのシャシーを活用したピックアップ仕様の「サニートラック」というわけです。

 初代のB20型は、先に発売されたB10型サニーのバンを基本として、ホイールベースや外寸が同じに作られました。

 乱暴にいうと、セダンの後席から後ろを荷室にしたのがサニトラです。しかし、トラックという名称ですが、荷台の横面は固定で開かないので、ピックアップと呼ぶほうがしっくり来るかもしれません。

■サニトラは超ロングセラーモデル

 初代のB20型サニトラがリリースされたのは1967年。サニーのクーペ/セダン/バンの発売より1年が経過したタイミングでした。

 ちなみにその当時は日産の小排気量車用ブランド「ダットサン」の末席にラインアップされていました。そのころはライバルのトヨタやマツダ、ダイハツ、ホンダなど各社からこの1000cc以下クラスの商用車が発売されるという盛況を見せていて、商店の配達やサービスカーとして広く普及しました。

 そのなかでサニトラも好調な販売をみせ、ベースのサニーのフルモデルチェンジに合わせて、1971年に2代目となるB120型サニートラックが発売されます。

 この2代目モデルも初代と同様にサニーと前まわりを共用する設計で作られたため、コンパクトカーらしい丸目2灯の愛嬌のある顔つきが好評を得ていたようです。

 そしてこの代から、もうちょっと荷室の奥行きがほしいという要望に応えて、ボディタイプがショートとロングの2タイプが用意されました。

 ショートはホイールベースがセダンより15mm長い2300mmで、ロングはそこからさらに230mm長い2530mmとなっています。

 なおこの2代目は、そこから31年間(国内市場は1994年で終了。その後南アフリカで製造・販売を継続)もの長い期間、ほぼ同じボディとシャシーとエンジンの構成で販売され続けました。

 その後、1989年にマイナーチェンジを実施。主な改良点は、厳しくなる排ガス規制に対応させるための環境対応デバイスの装着をメインとして、前輪のディスクブレーキ化や、ヘッドライトが角形になるなど多岐にわたります。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

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スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
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