マツダの意地をみた! 酷評されたCX-60の「走りの粗」をCX-80で劇的改善できた理由とは (2/2ページ)

CX-80では原因を洗い出し徹底的に対策

 マツダとしても、CX-60の失敗を繰り返すことはできない。そこでまず、サスペンションスプリングの硬さ、ショックアブソーバーの減衰力不足をCX-80では解消。具体的にはリヤのスタビライザーを外し、スプリングを柔らかくし、ショックアブソーバーの減衰力を高めることで乗り心地の改善を行ったのである。

 結果、ディーゼルエンジンモデルの乗り心地は劇的に向上。とくに非ハイブリッドのXDモデルは前後席ともに穏やかな乗り心地となり(60kg重いハイブリッドは車重増に対応してスプリングレートを高めているので依然としてやや硬めの乗り心地だ)、登場時に巷で囁かれた乗り心地の粗さは見事に解消。それは2列目席でも同様だ。速度を上げるほどにフラットになるところも褒められる。

 しかも、8速ATの変速もじつにスムースになり、CX-60の初期型で見られた変速ショックは、いまや昔である。このあたりは、開発陣の意地というところだろうか。

 ただし、CX-60の売りであったステアリングのシャープさ、意のままの操縦性、挙動はやや後退。しかしながら、マツダが打ち出しているつながりある操縦性は、たとえば山道などではしっかりと実現されていて、スムースな走りを、車格、ボディサイズに見合ったドライバビリティとして達成しているように思える。

 とはいえ、2210kgもの重量級になるPHEVモデルになると、高速走行時の段差やうねりに対してフワフワとする収まりの悪い乗り心地が顔を出すことがある。マツダのクルマはG-ベクタリングコントロールによっても「車酔いしにくい」ことでも有名だが、CX-80のPHEVは例外かも知れない。

 ところで、CX-60も2024年12月の商品改良において、CX-80にならい、スプリング、ダンパーの変更を中心にサスペンションのセッティングを見直し、操縦安定性と乗り心地を向上させている。

 また、電動パワーステアリングやAWDなどの制御最適化や騒音・振動への対策を織り込み、静粛性まで高めているのである。

 マツダの新世代ラージ商品群はまだ始まったばかり。これからさらなる改善が見込まれ、もう少し長い目でその進化を見極めたいところではあるが、CX-80の素のグレードとなるXDモデル、CX-60なら2024年12月以降の商品改良後のモデルであれば、FRレイアウト、直6エンジンの魅力をしっかりと味わえるはずである。

 いずれにしても、CX-80、CX-60を購入予定なら、仕様による走りの差が少なくないため、なるべく多くの仕様に試乗して納得できる1台を選んでほしい。


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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Yuming

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