下り坂の効力は凄まじい
一例として、富士山の5合目からの下りで回生を多用し、下山した際、どれくらいの充電量を回復できたか、その電力量はどれくらいかを試した記事がネット上に出ている。標高差1500mを、約30km走行したときの回生量は、6~15%、電力量で4~5kWhほどとの報告がある。数字に幅があるのは、車種の違いにより、車両重量やバッテリー容量が異なるためだ。
私も、初代リーフが発売されて間もなく、リーフの初期型(バッテリー容量24kWh)で箱根へ行き、下り坂で回生効果を実感したことがある。記憶をたどり、おおよその報告となるが、箱根湯本駅最寄りの箱根町役場の急速充電器で80%まで充電したあと、国道1号線で箱根の山を登り(正月の箱根駅伝のコースと同じ)、芦之湯の知人宅(海抜850メートル)まで行き、そこから芦ノ湖周辺を多少走って、再び箱根湯本へ戻った。
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芦ノ湖からの帰宅時に、バッテリー充電量は半分以下に減っていたが、ずっと下り坂となる1号線で箱根湯本へ戻ったら、このときは回生効果によって80%まで回復していた。つまり、帰宅の際には、箱根町役場の急速充電器を使う必要はなかったのである。そのまま都内へ戻ることができた。
このとき、登り坂では電力消費が多くなるが、下り坂が続くと急速充電を1回省けるほどの充電が回生によって実現したことになる。
現在、初代リーフよりバッテリー容量の少ない日産サクラに乗っているが、たとえば、自宅から御殿場インターチェンジまで充電残量50%以内で到着できれば、帰りのための急速充電をせずに帰宅できることになる。御殿場から大井松田まで、ほぼ下り坂が続くためだ。
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EVの一充電走行距離とは、単に平地での移動距離数だけでなく、登り坂と下り坂の有無で、想定より短くなる場合があれば、逆に長くなることもあり得る。それほど、回生の威力は大きい。
EVでワンペダル運転が有効といわれるのは、この回生を最大に活かした操作になるからだ。