ラストワンマイル・モビリティとしてリキシャは最適?
あるアジア通は、「ラストワンマイル・モビリティ対策はリキシャに限る」と語ってくれた。日本では三輪タクシーを「トゥクトゥク」と呼ぶが、これはタイでも俗称で、本来は「サムロー」、インドネシアでは「バジャイ」、そしてインドでは「リキシャ」と呼ばれるなど、地域によって呼び名はさまざま。アフリカあたりでも見かけるほど利用されている地域は広い。
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新興国では「バリアフリー」という概念はまだまだ普及しておらず、歩道はあったとしても段差が激しいだけではなく、デコボコしていて歩きにくいのが大半となっている。
そんなこともあるのか、バス停や地下鉄の駅を降りたら、三輪(電動やICEのほかインドでは自転車タイプもある)や二輪(バイク)タクシーで自宅まで帰る。つまりラストワンマイル・モビリティがすでに普及している。
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日本では高齢化がさらに進むと、自宅最寄りのバス停へ歩いていくのも困難な人が増え、バスの利用客の減少を加速させてしまうのではないとの話もある。鉄道駅も同じで、鉄道会社が放っておいても鉄道に乗るために人が駅に集まるのを待つだけでは利用客の減少を加速させてしまう。つまり、日本でも本格的にラストワン・モビリティをどうするのかという議論が起こっている。
そんななかJR東日本の「明日のデザイン」という、女優の浜辺美波さんが出演しているテレビCMに、電動三輪タクシーらしきものが登場していた。JR東日本のホームページを見ると、「モビリティツーリズム」として、旅先で電動タクシーや電動アシスト自転車など、訪問先観光地めぐりなどに利用するという「明日のデザイン」の提案ということらしかった。
このイメージを拡大して、「ベッドタウン」などとかつていわれた新興住宅地域や高齢者の多く住む地域などでラストワン・モビリティとして電動三輪タクシーを稼働させてみるというは一考に値するのではなかろうか。ただし日本では新しい事業となるので、許認可をどうするのかという問題とともに、働き手をどう確保するかという問題もある。
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日本では小型無人運転バスの導入が進められている。決まった路線や運行時刻にとらわれないように、「オンデマンド運行」の導入も進めるようだが、タクシーのような使い勝手ながら、安価で近距離移動に特化したBEV三輪タクシーは、日本でもラストワンマイル・モビリティにふさわしい乗りものなような気がする。
タクシーの稼働台数がコロナ禍前の8割ほどまで戻っている地域が目立ってきており、ここのところ日本型ライドシェアの存在が薄らいでいるようだが、ラストワン・モビリティとしてBEV三輪タクシーを運行させるというのも一考ではないだろうか。ドライバーは同じ地域に住む退職したばかりでまだまだ元気な高齢者に的を絞るなどすれば、「人生100年時代」なのでなんとかなるかもしれない。