「やっぱりマツダは凄い」がわかる! 世界中で色んなメーカーが挑戦した「ロータリーエンジン」の歴史 (2/2ページ)

バイクや船舶用などクルマ以外でもロータリーの可能性を模索

 また、NSUからライセンスを買い取ったのはマツダだけでなく、日産やスズキ、カワサキ、ヤマハ、そしてヤンマーディーゼルといったメーカーも名を連ねていました。

 日産は1972年の東京モーターショーに市販直前という触れ込みで「サニー・ロータリー・プロトタイプ」として出品。500ccの2ローター、ヴァンケル・エンジンそのものを搭載していましたが、やはりオイルショックを理由に撤退。

 スズキはクルマでなく、なんとオートバイに自社開発のロータリーエンジンを搭載して実際に発売していました。欧州専用モデルとされたRE5は497ccシングルローター搭載のマシンで、出力は61.9馬力を発生したとのこと。

 ですが、主に冷却系の補機をこれでもかと装備した結果、車重が230kgという重量級となってしまい、ヨーロッパでも鳴かず飛ばずという結果に。

 これを見ていたのか、カワサキとヤマハにしてもプロトタイプ、コンセプトモデルこそ作ったものの、市販に動くことはありませんでした。理由は、やはり設備投資や熱問題が大きかったのではないでしょうか。

 ちなみに、ヤンマーは上述のAIE社と同じく、積極的に自社開発を進めて、世界初のロータリー船外機エンジンを発売しています。後にヤマハと提携しながらロータリーの研究開発を続けて、低振動のメリットを活かすべくREチェーンソーまで作り上げています(これは低速トルク不足で本格的な販売には至りませんでした)。

 なお、バイクでロータリーエンジンというと1921年にドイツで作られたMEGORA(メゴラ)を思い浮かべるマニアもいらっしゃるかと。ですが、こちらは昔の航空機むけ星形エンジンを流用したもので、ヴァンケル系ロータリーエンジンとは別物。昔は星形エンジンのことをロータリーエンジンと呼ぶこともあったための誤解かもしれません。

 もっとも、メゴラの構造はクランクシャフトがフロントアクスルに直結という斬新なエンジンレイアウトで、640ccサイドバルブ5気筒は14馬力を発生し、レース仕様ならば85km/hの最高速を発揮したというなかなかの強者です。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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