「純利益93.5%減」=「販売台数が大幅減」ではない……が9000人のリストラ! ホンダとの統合も検討されるいま日産に何が起こっているのか? (2/2ページ)

日産が復活するために進むべき道

 それでも積み重ねてきたマイナス成長は、純利益において同期比93.5%減という結果になってしまったのは現実だ。

 その対応として、日産は以下のような対応策を発表している。

『固定費を3000億円(2024年度比)、変動費を1000億円(2024年度比)削減し、健全なレベルのフリーキャッシュフローを維持していきます。そのため、日産はグローバルで生産能力を20%削減し、人員数を9000名削減します。また、販売費および一般管理費の削減、製造原価の低減、会社資産の合理化、設備投資および研究開発費の優先度の見直しなど、さまざまな施策を実施します。』

 生産能力20%減につながる雇用の削減というリストラは、まさに固定費を減らすための短期的な施策としては王道といえる。ただし、生産能力はものつくり企業にとっては体力の根幹といえ、こうしたリストラは今後の成長においてはネガティブ要因となってしまう。

 だが、ホンダとの経営統合を検討しているというのであれば、日産が固定費を減らすためにリストラを進めるのはポジティブな要因になるといえる。もし経営統合をするのであれば、いずれにしても同地域にある工場はいずれかを整理する必要に迫られるからだ。

 経営統合に向けた検討に関する基本合意を発表する記者会見において、ホンダの三部社長は、日産が現状に対する対応がしっかりとできなければ統合の話がなかったことになる可能性があることも言及していた。日産はホンダとの経営統合に向けて、スリム化することが必至であり、9000人規模のリストラはある意味で最低条件といえるのかもしれない。

 逆にいえば、経営統合を見据えた生産能力と人員の整理ができれば、世間が思っている以上にホンダと日産の経営統合はうまくいく可能性もある。そうした視点で、日産が進めるリストラの内容やスピードを注視していく必要がありそうだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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