5ドアなんて考えてなかった! 人気爆発の予感たっぷりな「ジムニーノマド」の裏話 (2/2ページ)

5ドアならではのこだわりポイントとは

──走りに関しては、5ドアのほうが乗り心地の面では有利なのでしょうか?

柳本:そうですね。クルマが軽くなると、ダンパーの減衰力調整がものすごく難しくなります。3ドアと比べると5ドアのほうが重くなっているので、車重がちゃんとダンパーにかかるぶん、5ドアのほうがセッティングはラクです。車重が軽くなると、ダンパーを縮めるのに押さえつける力が足りなくなるんですね。ですから重いクルマのほうがセッティングの自由度は高いです。裏を返せばスイフトは苦労しました(笑)。

 今回のジムニーノマドに関しては、後席にも人が乗るので、後席の乗り心地もちゃんと出すセッティングにしています。

──撮影会場内で後席にも少しだけ乗りましたが、体感する突き上げは少なかったので、3ドアよりも乗り心地がいいように感じました。

柳本:物理的にそうですね。逆にホイールベースが短いほどピッチングが出やすくなります。長いほど入力をいなしてくれるので、人によって好き好きがありますね。3ドアになれると3ドアのクイックさが楽しいけど、5ドアのゆったり曲がる感じは後席に人を乗せるうえではいいと思います。

──エンジンなどの基本的なメカニズムはシエラと同じということですが、今回の5ドア化にあたって、セッティングなどを変更したカ所はありますか?

柳本:車重が重くなったぶん、制動力も変わってきますので、フロントのディスクブレーキをソリッドからベンチレーテッドにしています。また、車重があるぶん、4速AT内部のパーキングロックを補強しました。さらに、フレームもBピラー下付近を延長しています。操縦安定性をよくするために、スタビライザーの径も大きくしています。

──4速ATも5速MTもギヤ比は変更していないんですか?

柳本:どちらも変えていません。スプリングやダンパーは、車重が重くなったぶんだけ調整しています。ダンパーは上げてダメだったので縮み側を緩めたり、伸び側は緩かったので減衰力を強くして、路面にタイヤを押しつける力を強くしたりしていますね。スプリングは若干レートを上げています。

──ホイールベースが伸びたぶん、高速域での安定性では有利ですよね。

柳本:そうですね。ただラダーフレームがよじれるとロールしやすくなるので、それを極力解消するために、3ドアの時点でクロスメンバーを入れて、しっかりボディを動かして、足まわりが仕事をするようにセッティングしています。

──ADASは3ドアより進化しているように見えました。「デュアルカメラブレーキサポート」でしょうか?

柳本:そうですね。

──システムとしては現行のスイフトやスペーシアと同じものでしょうか?

柳本:電動パーキングブレーキのような、ジムニーはそぐわないようなものは入れていません。MT車は、ACCではなく車間維持制御のないクルーズコントロールになっています。AT車のACCも作動範囲が40〜100km/hになっています。

──現行モデルの3ドアも発表直後から長納期化していますが、ノマドも大きな反響を得て、しかもインド生産のものを輸入するので、さらに長納期化する懸念がありますが。

縫村:フタを開けてみないとわかりませんが、フレーム車は工場をフル稼働させてもモノコックボディのクルマよりも増産がしにくいのですが、今回のノマドはモノグレードで、ある程度見込みで在庫を確保したりもするので、あまり混乱しないよう対策しています。

 また、インドで生産するのは、中南米とアフリカのちょうど真ん中に位置するので、先進国に工場があるよりはいろんな場所に輸出しやすいという利点もあり、そのような生産体制にしています。

──発売後人気を得つつもほしい人が購入しやすい状況が整っていることを期待しています。ありがとうございました!


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
趣味
ゲーム
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