残価設定ローンは「月々の返済額」だけで支払期間を選ぶと損する可能性も! よりお得な買い方とは? (2/2ページ)

3年と4年と5年のどれがお得?

 残価設定ローンの返済期間は、3年/4年/5年の3種類が多い。トヨタ・シエンタ ハイブリッド Z 2WD(303万6600円/7人乗り)を頭金のない均等払いの残価設定ローンで利用すると、3年契約では月々の返済額は5万4800円だ。4年契約なら4万7100円、5年間では4万2400円に下がる。1台のクルマの返済期間が長くなるほど、月々の返済額は安くなる仕組みだ。

 このような返済額の違いもあり、販売店では「5年契約のお客様が多い」という。3年後に乗り替えるのでは慌ただしいが、5年を経過すると飽きも生じる。また5年間を経過すると魅力的な新型車も登場して、車検期間の区切りもあるから5年契約が多いというのが背景だ。

 ただし損得勘定を重視すると、3年契約と5年契約の返済額の違いにも注目したい。シエンタでは、5年契約の月々の返済額は、3年契約の77%だ。これが60%まで下がれば5年契約が割安になる。逆に85%なら、5年間を使うメリットが薄れるから、3年間で乗り替えることを考えてもいい。

 ヤリス ハイブリッド Z 2WD(249万6000円)は、3年契約では月々の返済額が5万2400円、5年契約なら4万600円だ。5年契約は3年契約の77%になる。

 ヤリスクロス ハイブリッド Z 2WD(280万9000円)は、3年契約の月々の返済額が5万1000円、5年契約は4万1300円だ。5年契約は3年契約の81%だから、5年契約は割高になる。3年間で乗り替えることも考えたい。

 この違いはリセールバリュー(中古車として販売される時の価値)に基づく。ヤリスクロスはリセールバリューが高いから、5年後でも値落ちが少なく、返済期間が5年間に伸びても月々の返済額が下がりにくい。逆にヤリスはリセールバリューが低いから、5年後の値落ちも大きく、返済額も77%に下がった。

 そしてヤリスクロスとヤリスでは、価格と返済額の違いにも注目したい。ハイブリッド Z 2WD同士で価格を比べると、ヤリスクロスはヤリスよりも31万3000円高い。それなのに3年契約の返済額は、ヤリスクロスが5万1000円で、ヤリスは5万2400円だ。ヤリスクロスは価格が高いのに、月々の返済額は逆に安い。5年契約はヤリスクロスが4万1300円で、ヤリスの4万600円よりも高いが、その差は700円に留まる。

 このように残価設定ローンは、ヤリスクロスのようなSUVなど、リセールバリューの高い車種がオトクになる。いい換えれば残価設定ローンの普及は、リセールバリューの高い人気車の売れ行きをさらに増やし、不人気車は逆に低迷させる。クルマの販売格差をさらに拡大させるのだ。この作用が今のSUV人気にも結び付いている。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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