中国資本でも「MG」は特別!? 中国車進出の先兵としてインド市場に切り込んでいた! (2/2ページ)

インドではMGが大人気!

 インドはいまでこそ超大国であるが、長きにわたりイギリス統治下だった時代がある。そのためか、チャイ(ミルクティー)や、お酒ではウイスキーを嗜好するなど、英国統治下の面影をいまだに感じることができる。

 そのせいもあるのか、諸外国で中国車といえばBYDオート(比亜迪汽車)の存在が際立って目立つのだが、インドではBYDがBEV(バッテリー電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)のみをラインアップするのに対し、他社ではICE(内燃機関)車のラインアップが充実している。そんななかでも圧倒的にMG車が多いのだ。

 コンパクトクロスオーバーSUVタイプの「ヘクター」や、大型クロスオーバーSUVとなる「グロスター」などは、インドの首都デリー市内でもよく見かけることができる。この様子を見て筆者は、「イギリスに対して潜在的なシンパシーを感じているのかなあ……?」などとも感じてしまう。

 筆者は、中国車のなかでMGは先兵的な存在として海外市場に打って出ているように感じている。タイでもいち早く中国車としてMGは市場参入し、「地ならし」をしたあとにBYDやGWM(長城汽車)などが市場参入してきたといったパターンを、他国でも見ているからだ。

 インドにおけるMGブランド車の販売状況が好調なのは、いち早く市場参入したことは否定できない事実と考えている(ICE車もラインアップしていたことも大きい)。

 日本市場は、BYDオートが中国系ブランドとして先行して市場参入しているので、その点が諸外国とは大きく異なっている。高効率で低燃費なエンジン搭載車や、優秀なHEV(ハイブリッド車)をラインアップし、軽自動車という存在もあることで、日本では日本車の販売シェアが圧倒的に多い。「ICE車も投入してラインアップを拡充」という参入パターンが通用しないことが、BYDが電気自動車のみで参入した背景のように見える。

「BEV=中国車」というイメージが強いが、世界的にBEVの普及スピードにブレーキがかかってきている。そのなかで中国系は、PHEVやHEVで活路を見出そうとしているが(純粋なICE車も意外なほど中国以外の市場でもラインアップしている)、HEVでは日本車が日本市場以外でも大きく立ち塞がっている。

 そのなかでもインドを見る限り、かつての英国の名門であったMG車が中国系ブランドとなっても、インドの人たちには「特別な存在」となっているのかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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