車線規制をすることなく計測が可能に
こうしてETCの電波強度を計測するのは、大きくわけてふたつの意味があるそうだ。まずひとつはETC搭載車両が高速道路を走行する際に確実に電波を送受信できるようになっているかの確認。ETCは電波によって情報をやり取りして高速道路料金などを算出し決済する機構なので、走行車線や車体の形状、アンテナの位置などによって送受信が不安定になってしまうことは絶対に避けなければならない。そのため、9個のアンテナを2列も配備して、細かく電波強度を計測しているのだ。
それと、アンテナがたくさんあることで電波の指向性がわかり、道路側のアンテナがきちんと狙った方向を向いているか推測することも可能になってくる。電波強度を測定するもうひとつの目的は、電波の漏洩がないか確認することだ。電波が思わぬ方向へと漏れていると、周辺を走行するクルマにトラブルが発生する可能性がある。
たとえば高速道路の側道を走っているクルマがETCの電波を受信してしまうことで、高速道路を走行していると誤認識されてしまうことがあるのだ。これはETCの電波が建物などに反射して起こってしまうらしい。その場合はアンテナの向きを調整したり電波を吸収する部材を追加するなど、対策する必要があるのだ。
以前は車線規制などをして計測してきたが、それでは効率も悪いし安全性にも問題がある。この3D ETC Doctorが開発されてからは、昼間に一般車両と一緒に走行しながら計測ができるので、正確なだけでなく作業員も遥かに安全で快適に仕事ができるようになったそうだ。
ランクルベースの1号車に続いてキャラバンをベースにした2号車は、より広い車内で快適に仕事ができることになりそうだ。