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いまでもダイナマイトで発破ってマジか! 意外と知らない自動車用トンネルの掘り方

いまでもダイナマイトで発破ってマジか! 意外と知らない自動車用トンネルの掘り方

この記事をまとめると

■地下トンネルはシールド工法によってつくられる

■一方で山岳トンネルではいまだにダイナマイトが使われる

■トンネル工事の技術について詳しく解説

戸田建設がスケールモデルを展示

 日本の建築技術は世界でもトップクラスだ。高層ビルや吊り橋、新幹線や高速道路など大きな建築物の建設では高い評価を受けている。それは地震大国でもあり、きめ細やかで正確な仕事をする国民性が反映された結果なのだが、トンネルも同様だ。中国では海底トンネルが開通後すぐに水没したとか、いろいろな事故や事件を聞くが、日本では表だった事故はそうそう聞いたことがない。

 ところが最近、トンネル工事で世間を騒がすような事故も起こっている。例としては、東京外郭環状道路の杉並区間を工事していたことによる路面の陥没事故などが挙げられる。地下トンネルを掘っていて、地上に影響が出てしまう、それも路面が陥没してしまうのは非常に危険であり、地域住民を不安に陥れることになる。路面陥没については、大雨や洪水、地震などトンネル工事以外にも影響はあり、全国でそういったトラブルは起こっている。

 そんなトンネル工事の技術について、日頃は考えたこともなかったが、先日ハイウェイテクノフェア2024の会場で、トンネル工事について意外な事実を知らされた。トンネル工事では一般的に知られているシールド工法は、じつは地下トンネルでは主流だが、山岳トンネルではいまだに発破による掘削が主流なのだとか。

 中堅デベロッパーの戸田建設のブースには、トンネル工事のスケールモデルが展示されていたのだが、それはまるでハリネズミのように放射状に棒を伸ばしていた。これはシールド工法では考えられないような構造だ。

 シールド工法は、シールドマシンと呼ぶ円筒形の大きな掘削機械で穴を掘り進みながら内部に土砂を取り込んで後方へと運び出していく。その一方で、掘られたばかりの土壁にコンクリートを吹き付けて、補強しながらトンネルを作っていくのだ。これは地盤の弱いところでも、静かにゆっくりと掘り進みながら補強していける優れた工法だ。しかしコストは高く、掘るスピードもゆっくりだ。

 ところが山岳トンネル工法は、細長いドリルをいくつも備えたマシンで土壁に穴を開け、ダイナマイトを挿入。そこに点火して爆発させて土壁を破壊して掘り進むのだ。爆発の圧力や衝撃もあるため、コンクリートの壁はある程度の間隔を開けた後方から作られることになる。その際に軟弱地盤を補強したり、トンネルを支えるために長いロックボルトを放射状に打ち込む。さらに、H鋼もトンネル断面に合わせた環状に加工したものを補強として組み込み、コンクリートと合わせて丈夫な内壁を作り上げるそうだ。

 このトンネルの模型では、そうした構造やトンネル工事の模様がじつによく理解できた。日本の高速道路にトンネルは不可欠なものであるが、地下トンネルと山岳トンネルでは工法も構造もまったく異なる。

 こうしたことを知ると、トンネルを通過するたびに、工事した作業員に感謝の気もちが込み上げてくるものだ。さらに点検によって安全を確保してくれている作業員の方々にも、頭が下がる思いである。

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