小口宅配はトラック荷室内の「配送ボックス」によって成り立っている! 冷凍製品も常温製品も一緒に運べる仕組みとは?

この記事をまとめると

■トラックの役割はおもに荷物を運ぶこと

■配送には配送ボックスが必要不可欠だ

■進化する配送ボックスの最新事情を解説

ケースひとつで温度が異なる荷物を積むことも可能!

 トラックの役割を単純にいえば、荷物を運ぶことである。しかし、その荷物は一様ではない。さまざまな大きさや重さ、形のものがあるのだ。これらをどのように梱包するのかは、基本的に荷主が決めることである。なぜならば、荷主が一番荷物のことをわかっているからだ。そして、荷物を壊すことなく傷もつけないようにして運ぶための工夫は、ひとえに配送ボックスの選択にかかってくるのである。

 一般的な荷物の配送ボックスとして、すぐに思い浮かぶのは段ボールだろう。中身を守るためには緩衝材を使用することも多いが、これらは使用後にゴミとして処理をすることになる。もちろん、再生可能な素材はその処理ルートに乗せるが、物流システムのなかでは廃棄物の扱いであることは変わりがない。

 そこで、再利用に優れた配送ボックスとして活躍するのが折りコン(折りたたみコンテナ)だ。これは登場して半世紀ほど経つが、当初から完成度が高いので基本的な構造に大きな変化はない。しかし、素材に半透明なものを使用して開けなくても中身がわかるようになったほか、側面に窓を設けて積み重ねた状態でも荷物を取り出せるようにするなど、細かな改良は重ねられている。

 一方、インターネット通信販売の発展などにより、小口配送にも冷凍、冷蔵の荷物が増加したため、トラックで冷却するシステムを導入する必要性が生まれた。以前は冷凍、冷蔵専用車が主流であったが、小口配送では一般の荷物もあるために、荷室の一部で冷凍、冷蔵が可能なシステムを導入しなければならない。大手事業者ならそういった機能をもつトラックを導入すればよいが、中小事業者にはコスト面からそう簡単にはいかないのだ。

 こういった声に対応するべく登場したのが、折りたたみ型のクールボックスである。これまで、同種の製品として断熱材を入れた縫製型の保冷ボックスや、オリコンとシッパー(遮熱フイルムを用いた簡易保冷ボックス)を組み合わせたものなどを使用していた。しかし、洗浄や荷物の収納面でやや手間がかかったことや、何より性能面で十分満足できるものとは言い難い部分があったのだ。

 折りたたみ型のクールボックスは外装に硬質プラスチックを使用し、内部はウレタンを使って断熱することで、オリコンと同様の運用が可能な冷凍ボックスを実現している。冷却は専用の保冷材を使用するが、これにより冷凍であれば-15℃を8時間程度キープすることができる。冷蔵の場合も専用の保冷剤を使って5℃以下なら5時間、8℃以下なら10時間保温できるのだ。

 また、ネットスーパーなどで小口配送をする際に、野菜、肉、冷凍食品といった温度管理が異なる荷物を、少量ずつ同じ着荷先に届けなければならないことがある。そのようなときに、同ボックスは仕切り板と保冷材の位置を調整することで、ひとつのケースで温度管理が異なる3種類の荷物を積むことができるのだ。

 ボックスの断熱性が高いということは、逆に冷蔵車に常温管理の荷物を混載させることも可能だということ。たとえば、生鮮魚介を配送する冷蔵車で、炊いたご飯の食感を損なうことなく一緒に運べるということだ。ラストワンマイルの配送は、インターネットの発達・普及によって多様化の一途をたどっている。配送ボックスも、それに合わせて進化を続けているということだ。


新着情報