![荷台のドラムを回転させながら走るのはなぜ? 意外と知らない「コンクリートミキサー車」の中身](https://cdn-webcartop.com/wp-content/uploads/2025/01/NI2409-601-844x563.jpg)
この記事をまとめると
■建設機械は土木、建築の作業に使われる機械
■今回は「コンクリートミキサー車」を紹介
■道路運送車両法上の「特種用途車両」にあたる
タンクを回転させながら走行!
工事などで使用される建設機械は多数あるが、なかでも街なかでよく見かける車両のひとつにコンクリートミキサー車がある。これは、トラックをベースにした特殊な架装の車両で、ドラム型のタンクを回転させる機能を持っている。その名のとおり、コンクリートを運搬するという用途で使用される車両だ。道路運送車両法上の「特種用途車両」にあたり、ナンバープレートは「8」になる。
一般には「コンクリートミキサー」と呼ばれているが、「攪拌する」という意味をもつ「アジテーター車」とか、積載物から「生コン車」などとも呼ばれることがあるようだ。コンクリート製造工場で作られた「生コン」を建築現場に運搬するなどしているのだが、このとき後部のドラムを回転させている。これは、積み荷の「生コン」を攪拌するためなのである。
生コンとは、セメント、骨材(砂、砂利)、水の混合物である。それぞれ比重が違うので、そのままタンクに入れて運搬すると、走行するときの振動で重いものが下に沈むなどして分離してしまう。そうなると、到着した現場で再攪拌をしなければならなくなる。ゆえに、攪拌をしながら輸送しているわけだ。
このときの回転速度は、おおよそ1分間で1.5回転である。ちなみに、ドラム内で生コンを作るときには、1分間で約13回転という速さで回すのだという。また、生コンは時間が経つにつれて硬化するという性質をもつ。そのため、生コン輸送には時間の制限があって、リミットは通常90分程度とされている。意外に、タイトな輸送を強いられているといえよう。
生コンを積むタンクは「ドラム(ドラムシェル)」と呼ばれ、なかは空洞だが攪拌するブレードが装備されている。このブレードに穴を空けることで、攪拌、排出性能を上げる効果をもたせているのだ。また、ドラムの後ろ上部には生コンの入り口である「ホッパ」を装備。その開口部は投入効率を考えて広くとられており、さらに異物混入を防ぐための蓋がつけるなどの工夫がされているのだ。
コンクリートミキサー車が運んできた生コンは、コンクリートポンプ車に送られて打設(生コンを型枠のなかに流し込み、建物の基礎を作る工事)現場などへ圧送される。このとき、コンクリートミキサー車は、ドラムを逆回転させることで生コンを排出し、シュートと呼ばれる樋を通して、コンクリートポンプ車のホッパに流し込む。ここに投入された生コンは、コンクリートピストンを使って水鉄砲のように押し出されていく。あるいは、チューブのなかを通ってローラーにより押し出されることで現場に届けられるわけだ。
この車両はブームを備えている(なかには配管車のように、ブームを持たない車輌もある)ので、これを伸ばすことで高層ビルの打設工事にも対応が可能になる。これまでには、300m程度の高さにまで「生コン」を送り届けた例もある。このように、コンクリートミキサー車とコンクリートポンプ車は、同じ「生コン」を扱う車両でも見た目だけではなく、用途や仕組みが大きく異なっているのだ。こういった建機が住みよい街づくりを支えていると思えば、これらはまさにアンサングヒーローといっても過言ではないだろう。