![その昔は点灯じゃなくて棒が飛び出すだけ! アラフィフオヤジでも知らない「アポロウインカー」ってなに?](https://cdn-webcartop.com/wp-content/uploads/2025/01/NI2409-901-844x563.jpg)
この記事をまとめると
■クルマの進行方向を示すウインカー(方向指示器)
■現在は「灯火」「点滅式」のものと決められている
■かつては矢羽式方向指示器が使用されていた
日本ではアポロ工業が開発・製造
実際に行っている人は少ないが、曲がるときには自転車も方向指示をしなければならないと、道路交通法によって定められている。右に曲がるときは、「右腕を水平に伸ばすか、左腕を水平に伸ばして前腕を上に向けて垂直に曲げる」ようにする。単純だが、まわりからは大変わかりやすい方法だ。じつはクルマのウインカーも、これとよく似たシステムを取り入れていたことがある。
クルマのウインカーを、法的には方向指示器と呼ぶ。道路運送車両法において保安部品とされており、装着が義務付けられているからこれが正常に作動しなければ車検にはとおらない。クルマが登場したころにはこの装備はなかったが、馬車で御者が手信号を使って右左折を知らせていたことに準じ、合図を行っていたとされる。現在は法律で細かく機器仕様が規定されており、基本的にはそれに沿った灯火、点滅式のものでなければ認可されない。
手信号のように矢板が飛び出すタイプの矢羽(腕木)式方向指示器は、1900年ごろに海外で開発されたものが、その後に日本でも広く使用されるようになったという。国内ではアポロ工業が開発、製造し、高度成長期ごろまでは同社製のものを多くの車両が装着していた。
やがて、利便性などから先述のように灯火、点滅式が市場で優位を占めるようになる。1973年の法改正で、現在につながる方向指示器の原型が定められて以降は、矢羽式方向指示器は新車に装着できなくなって衰退し、同社は翌年にサンウェーブ工業と合併するなどして本事業から撤退したのである。
この方向指示器の多くはフロントピラー、あるいはサイドピラーなどの上方に装着されており、スイッチが入っていないときは下を向いた収納ケースに矢板が収まっている。一般に、収納ケースは車体と類似の塗装であったために目立たない。ウインカースイッチを入れると、収納ケースから矢板が水平に飛び出す。矢板はオレンジ系の色をしたレンズが使われており、周りから視認しやすくなっていた。飛び出すための仕組みは電磁石で、その動力は電気である。
現在のウインカーはLEDを光源とした点滅式で、ハザードランプと共用するタイプのものが主流になっている。メンテナンスがラクでコストも低く抑えられ、視認性のいいことがその理由だと考えられる。トラックドライバーの間で人気のシーケンシャルタイプや、乗用車で採用が多くみられるドアミラータイプなどといった、デザイン性を追求するものも増えている。
ウインカーの使用は、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」によって細かく規定されている。市販のシーケンシャルタイプが車検にとおらないなどといったことが起きるのは、この規定に反している場合があるからだ。逆にいえば、これに合致すれば正規のウインカーとして認められる。
アポロウインカーも、昨今のレトロ車レストアブームで装着を望むドライバーが一定数存在する。たまに古いものがインターネットオークションなどに出品されているが、構造が簡単なので自作することも不可能ではない。ただ、規定のクリアは決して簡単なものではなく、車両全幅などにもかかわって改造申請などが必要になる場合もある。ゆえに、レストアを扱う整備工場なとに依頼したほうが、スムースであると考えられる。