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静かなスポーツカーって……ファンをゲンナリさせる騒音規制! メーカーの苦肉の策が「吸気音チューニング」だった (1/2ページ)

静かなスポーツカーって……ファンをゲンナリさせる騒音規制! メーカーの苦肉の策が「吸気音チューニング」だった

この記事をまとめると

■クルマが発する騒音は世界的に規制する流れ

ロードスターや86などはエンジンの吸気音を車内に響かせるユニットを搭載している

■スポーツカーが走る際の高揚感を演出する画期的なアイディアとして評価されている

世界的にクルマの走行音が静かになっている

 自動車に求められる環境保全性は、地球温暖化につながる二酸化炭素の排出だけではなく、自動車が発する音、すなわち騒音に関しても重く見られている。平たくいえば、自動車の走行騒音規制といってもよいが、国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラムNo.51-03Series(略してR51-03)の規制値を導入。2016年10月よりフェーズ1、2020年9月よりフェーズ2の規制値が実施され、さらに規制値を厳しいレベルとしたフェーズ3が2024年より段階的に適用されている。

 要は、走る自動車は大きな音をたててはいけない、という地球規模での取り組みである。走行する自動車は、エンジン音、排気音、機械的な部分が発するメカニカル音、さらにはタイヤと路面の接触によって発生するロードノイズなど、いってみれば複合的な要素による騒音発生源となっている。

 いい替えれば、自動車に求められる性能は、より静かにということになるわけだが、一方で、排気音やエンジンのメカニカルノイズなどは、クルマ好きにとってはクルマがもつ魅力として受け止められていることも事実だ。たしかに、エンジン回転の上下によって変化する澄んだ力強い排気音は、クルマ好きにとっては大きなポイントだ。オリジナルからスポーツマフラーに交換するクルマ好きの気もちは万国共通だ。

 しかし、段階的に厳しくなっていく走行騒音規制が存在する以上、自動車自体が発する音のレベルは確実に引き下げられ、またそうしないと自動車の社会性は保たれない、という認識も広く浸透してきた。

 これで頭を痛めたのが自動車メーカーだ。

 スポーツ系の車両を生産、販売しながら、こうした車両の商品性を高める排気音の低減、静粛性が求められるジレンマ。なんとか対策はないものか……となって考え出されたのが、吸気音のチューニング(というより演出と表現したほうが適切かも)だ。この考えが盛り込まれた具体的なモデルが、マツダNDロードスターやトヨタ86などだ。ロードスターではインダクション・サウンド・エンハンサー(ISE)、86ではサウンドクリエイターと呼ばれるシステムで、吸気音をキャビン内に心地よく響かせることで、スポーツマインドを刺激しようとしたものだ。

 考え方はシンプルで、吸気系の途中に空気の流れによって音を発生する部品を設定。ある意味、吹奏楽器と同じような考え方と理解してもよく、「少なくとも1カ所の開口部をもつ空洞に向かい、吹き付けられた気体の流れによって生ずる振動を利用して音を出す楽器」という吹奏楽器の定義とよく似ている。

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