この記事をまとめると
■インドで販売されているトヨタ車の一部にスズキ製のOEMモデルが存在する
■「オートエキスポ2025」会場内のトヨタブース内に数モデル展示されていた
■両社がインドで展開しているクルマのサイズが違うのでお互いメリットがある
インドではトヨタとスズキがタッグを組んでいる
日本国内において人気のあるトヨタ車に、トヨタ・ルーミーとトヨタ・ライズがある。そして、この2車に共通しているのが、ダイハツからのOEM(相手先ブランド供給)モデルということ。ルーミーはダイハツ・トール、ライズはダイハツ・ロッキーと双子車の関係にある。
場所を日本からインドに変えても、インドでラインアップされるトヨタ車の一部は、他メーカーからのOEM車となっている。しかし、その他メーカーとは、インドの場合ダイハツではなくスズキとなるのである。
2025年1月17日から22日の会期でインドの首都デリー市内で開催された、「第2回バーラト(ヒンディー語でインドの意味)・モビリティ・グローバル・エキスポ2025」の一部となる、「オートエキスポ2025(通称:デリーオートエキスポ2025)」会場内のトヨタブース内では、それを象徴するかのようにスズキからのOEM車が展示されていた。
まずは懐かしい名前ともいえる、トヨタ・ルミオン。日本では角型基調のハッチバックモデルとなる「カローラ・ルミオン」として、そのペットネームとして使われていたが、インドでは単なるルミオンという車名が使われている。
ちなみにこのクルマは、スズキの3列シートを持つ新興国向けMPV(多目的車)となる「スズキ・エルティガ」ベースのOEM車となっている。フロントがトヨタ車風の顔つきとなっているのが特徴的だ。
2台目はトヨタ・グランツァ。これはスズキ・バレーノベースのOEM車となる。ルミオン同様に顔つきに変化が与えられている。
そして最後はトヨタ・アーバン・クルーザーTAISOR。こちらも顔つきをかなり変えているので、ひと目ではわかりにくいのだが、日本でも2024年10月の発売以来高い人気が続いている、スズキ・フロンクスベースのOEM車となっている。
スズキからトヨタへ一方的にOEMしているというわけでもない。トヨタからは3列シートをもつ大型MPVである「トヨタ・イノーバ・ハイクロス」ベースの「スズキ・インヴィクト」が逆に、トヨタからスズキへOEM供給されている例もある。
これらは、トヨタとスズキの間での業務提携に基づく協業のひとつとして相互供給が行われている。これなら両社ともに無理なく車種ラインアップを増やすことができるといえよう。
スズキはインドでトップシェアとなっているが、得意としているのは小型量販モデルとなる。一方のトヨタは、インドにおいては中・大型車を得意としているので、両社が得意とする部分を相互補完することによるメリットが大きくなるのである。
荒っぽい表現とはなるが、アーバン・クルーザーTAISORのことを「トヨタ・フロンクス」とも表現できてしまうが、クーペSUVスタイルを採用していることからも、「トヨタ・ハリアー・●●」と名前をつけて日本でも発売すれば、日本でのトヨタの販売力からしても、いまのフロンクス人気を完全凌駕するような売れ行きになることは間違いないのではないかとついつい考えてしまった。
インドの新車販売市場はまだまだ今後も伸びしろが十分ある有望市場。OEM車であっても、ラインアップを増やせばそれだけ販売拡大になるその勢いは、日本ではなかなか想像ができない。そんな元気なインド市場だからこそ、「トヨタ版スズキ車」をショー会場で見かけることとなったのかもしれない。