この記事をまとめると
■生活道路がどんな道路なのか法律上の明確な定義はない
■国土交通省や警視庁は「道幅が5.5メートル未満」をひとつの基準として採用している
■生活道路は「歩行者・自転車の安全確保が優先されるべき道路」としている
生活道路ってどんな道?
ニュースなどでときどき耳にする「生活道路」。なんとなく、「住宅街にある主要道路(幹線道路)以外の道」ととらえている人がほとんどだろうが、何か生活道路の定義のようなものはあるのだろうか?
国土交通省 国土技術政策総合研究所 道路交通研究部によると、「生活道路は、買い物や通勤、通学、散歩、立ち話等、地域住民の日常生活で様々な目的で使われる身近な道路」と説明しているが、現状では「生活道路」に、法律上の明確な定義はない。
また、国土交通省は統計資料で「車道幅員5.5メートル未満の道路」を生活道路としていたり、警察庁も、センターラインや中央分離帯のない道路で、道幅が5.5メートル未満の狭い道路を生活道路の目安にしているので、この「道幅が5.5メートル未満」がひとつの基準になることは間違いないだろう。
ほかにも、警察庁の『生活道路におけるゾーン対策推進調査研究報告書』を見ると、「本調査研究における『生活道路』は、『主として地域住民の日常生活に利用される道路で、自動車の通行よりも歩行者・自転車の安全確保が優先されるべき道路』とする」と書かれている。
ちなみに、全事故発生件数及び幅員5.5m未満道路の事故発生件数の推移を、令和6年9月に公表された警察庁の資料(「生活道路における安全確保」)で調べてみると、
・交通事故件数は10年前と比較し、減少傾向にはある
・全交通事故発生件数に占める幅員5.5m未満の道路における交通事故発生件数の割合は横ばいで推移
となっていた。
こうした生活道路での安全を守るため、2024年7月、法定速度の標識・表示のない生活道路の法定速度を30km/hとする道路交通法施行令改正が閣議決定され、2026年9月1日から実施されることになった。
いずれにせよ、生活道路は上記のとおり、「自動車の通行よりも歩行者・自転車の安全確保が優先されるべき道路」と位置付けられていると思って間違いないので、生活道路を通る際は、速度を落とすだけでなく、周囲に十分に気を配りながら、一件でも事故を減らせるよう安全意識を高めて運転しよう。