この記事をまとめると
■冷凍車/冷蔵車は食品を運び私たちの生活を支えるトラックだ
■冷凍車の結露をなくすには約6時間乾燥させなければならない
■トプレックから庫内乾燥機能を備えた冷凍車/冷蔵車が登場した
庫内乾燥機能を備えることで復路も荷物が積めるように
冷凍車や冷蔵車は、食品を運ぶにはいまや欠かせないトラックたちだ。けれども、食品を運ぶトラックは往路は荷物を積んでいくものの、復路は空荷で戻ってくることになる。中継輸送で配送センター間を往復する場合はともかく、工場や倉庫から食品を運んで納める場合、その代わりに積める荷物はない。
これが通常のドライバンなどであれば、まったく異なる業種の荷物を積むこともできるのだが、冷凍車は庫内が極低温であるため、冷凍機を切ると庫内は結露してしまうため、ドアを開放して外気温に近づけるとともに換気して乾燥させなければ、積み込む荷物が水浸しになってしまうのだ。大型トラックの場合、冷凍車の結露を解消させるには6時間くらい乾燥させなければならないらしい。乾くまで待っていたら仕事にならないのだ。
架装メーカーのトプレックは、そんな問題を解決する庫内乾燥機能を備えた冷凍車/冷蔵車を用意している。これはヒートポンプ式のヒーターを追加することで庫内を温め、2、3時間で乾燥させることができるのだとか。たとえば午前中に冷凍品の配送を終えてお昼休憩を長めに取れば、庫内は乾燥できることになる。
これによって、復路では常温の荷物を運ぶことができるようになるのだ。積載率が高まるのはもちろん、従来と比べれば実質的な稼働率は大幅に高まることは想像に難くない。
国際物流総合展2024では、普通免許で乗れるいすゞエルフミオと中型トラックをFCEVに改造した仕様を展示していた。エルフミオは現在の普通免許で運転できる「だれでもトラック」だが、冷凍車となるとボディが重くなってしまうので、平ボディの1.3トン積みに対して最大積載量は800kgまで減少してしまう。それでもペーパードライバーをトラックドライバーへと昇格(?)させるための秘策としては、このトラックの存在は重要だろう。
FCEVトラックは、セブンイレブンの配送用として実証実験に使用するモデルらしく、バッテリーと電動コンプレッサーにより走行中はもちろん荷役時にはバックアップ運転、さらに荷積み前にも外部電源によるスタンバイ運転をすることが可能となっている。オール電化住宅のようにすべてを電気で賄っているからできる芸当なのだ。
また、混載便などの場合、温度領域の異なる荷物を積むのは難しい。佐川急便はEVとFCEVのトラックで、常温と冷凍&冷蔵の荷物を運ぶ実証実験を行なう車両を開発し、ブースに現車を展示していた。
それは、従来のバンボディの前端に小さな個室を作り、ボディの側面に小さな扉を設けて、出し入れできる構造にしたものだった。左右で冷蔵と冷凍に振り分け、それぞれに食品などを格納して運ぶことができるようになっている。
EVの環境性能には疑問符がつき始めた現在だが、気候変動を抑えるためにあらゆる手段を講じなければならないのは変わらないことだ。