ホンモノと見まごうばかりの超完成度の影にミニカーの存在! 「栄光のル・マン」のポルシェ908を再現した驚きの手法 (2/2ページ)

驚きの再現度とそのディテール

■見事な再現性のポイントは模型からの拡大コピー!?

 そんなボディの製作技術もさることながら、再現度の高いフォルム作りも目を見張るものがあります。

 どうやってそのフォルムを再現したかを聞いてまたビックリしました。このポルシェ908のフォルムのガイドラインは、劇中車の精巧な模型(1/16スケール)を拡大コピーして作ったそうなんです。

 素人考えでは測定器で3次元の採寸を行って大きなロール紙に印刷して……と手の込んだ方法が思い浮かびますが、熟練の村手さんにとっては「拡大コピーのほうがカンタンで早い」とのこと。

「えっ、そんな方法で?」と思ってしまいましたが、実車を目の当たりにするとその完成度に唸るしかありませんでした。

■ボディワークの注目点

・ヘッドライト・カウルのフィッティング

 特徴的な片側2眼のヘッドライトですが、ただ穴を空けて上から透明のカバーを被せるだけではスケール感がガタ落ちになってしまい、残念な仕上がりになってしまうので、わざわざアクリルカバーの厚み分の段差を作ってそこに固定する方法を採っています。

・ラジエター吸気口の処理

 ボディの製作でひとつ問題がありました。本物は空冷のためラジエターはありませんが、このビバーチェは水冷エンジンなのでリヤタイヤの前にラジエターを備えています。

 飾っておくならともかく、レースを走るならば吸入ダクトは必要と考えた村手さんは「ここしかない!」と、ドアの上面にダクトを設けてその問題を解決しました。そうといわれなければ違和感が出ないくらい自然に仕上がってているのはさすがです。

・外装のロゴなどはすべて手切りで製作

 ゼッケンの数字を始め、「PORSCHE」をもじった「POPSCHC」のサイドデカールや各スポンサーのステッカー類、そして各部のピンストライプまで、すべてカッティングシートを手切りで製作しているそうです。

 これも「印刷より質感がいいし手っ取り早い」という理由だそうですが、レース参戦当日のピットで直前まで貼り込み作業を行っていたんだとか。

 できる範囲で、徹底的に本物に近づける村手さんの職人技とシャレが効いた遊び心に驚かされた1台でした。

取材協力:アートレーシング


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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