やるならトコトン! 旧車サーキットマシンに合わせてトランポまで作り上げた超マニアの世界をご紹介 (2/2ページ)

もちろんトランスポーターに載せるレースカーもこだわりの1台

■SRL311フェアレディも見どころ満載

 そして、サーキット用に各部がモディファイされた「ダットサン・フェアレディ SRL311」の方も見どころがたくさんあります。ポイントをかいつまんで紹介しましょう。

<外装>

 競技用車両ということで、外装はできる部分はすべてFRP製のものに換装されています。フロントのセクションは、ボンネットを除く左右のフェンダーとフロントカウルを一体化して短時間で外せるようにしてあります。

 カラーリングは1960年代にアメリカのレースシーンでダットサンを駆って活躍した「BREレーシング」のカラーで仕上げてあります。

 ヘッドライトをよくよく見ると、メッキのベゼル部分がフェイクペイントで仕上げられていることに気付いて驚かされます。これはNASCARやドラッグレースなどアメリカのレースシーンではよく使われる手法ですが、これは近くで見ないと騙されるくらいのクオリティです。

<エンジン>

 エンジンは2リッターの直列4気筒SOHC、U20型ユニットを搭載しています。ノーマルで145馬力を発揮するエンジンなので、ガンガン走ることも踏まえて基本的には中身はノーマル仕様ですが、キャブレターを純正のソレックス製44φからサーキット走行の横Gに強いとされるウエーバー製の45φへと変更しています。

 そして、オイル状態の安定化をしっかり整えるなど、補機類にもサーキット走行を踏まえたモディファイが施されています。

<足まわり&ブレーキ>

 この車両の見どころは多くありますが、いちばんの注目点は足まわり&ブレーキの強化かもしれません。まず、最重要の改善点であるブレーキは、フロントにAPレーシング製の4ポッドキャリパー&大径ディスクを装着。そして、ノーマルではドラム仕様のリヤブレーキをディスクブレーキ仕様へと変更しています。この変更のためにリヤアクスルのケース(ホーシング)をワンオフで加工していますが、これは相当面倒な作業となります。

 足を支えるダンパー&スプリングは同軸タイプの車高調(エナペタル製の特注品)に変更。超軽量なRAYS製アルミ鍛造ホイールとの組み合わせで、ノーマルとは別物のよく動く足に生まれ変わっています。

<その他>

 室内は不要なパーツをすべてはぎ取り軽量化したうえで、乗員保護のロールバーを装着。雰囲気とホールド性を両立するコブラシートにシンプソン製の4点ハーネスを組み合わせています。

 軽量化目的でドンガラ状態にしていますが、ドアの内張りを製作したり、ダッシュボードにレザー風の生地を貼り込むなど、雰囲気をよくする仕事にも抜かりはありません。

 トランクルーム内には56リットルの安全タンクが設置されています。こちらも装着しっ放しではなく、アルミ板のカバーでキレイに仕上げてあり、丁寧な仕事が垣間見られます。トランクリッドの中央に突き出した給油口のアストンキャップがレーシーな雰囲気でキマってます。

 このトランスポーターとSRL311はオーナーの森田さんがサーキット走行を楽しむためにいまでも現役で使われているそうで、乗り始めたころは丸っきりの初心者レベルでしたが、いまではこのクラスのレースでは上位が狙えるくらいに上達しているそうです。

 ただ単に速さを求めるだけでなく、楽しむための雰囲気も大事にするというこの姿勢は、同じジャンルでクルマ遊びを楽しむ人の参考になるのではないでしょうか。

取材協力:アートレーシング


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往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

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スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
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釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
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