日本で人気の新車購入方法「残価設定ローン」! いま金利上昇を含めてローン審査が厳しくなっていた (2/2ページ)

金利0%キャンペーンによるデメリット

 諸外国では逆にオートローンが利用しやすくなっている地域も出てきている。

 東南アジアのタイやインドネシアでは、オートローン審査が厳格化され、それが新車販売不振を招いているようなのだが、アメリカでは以前よりは審査が甘くなっているとの話を聞いている。

「金利0%やっています」は客寄せパンダと前述している。実際に南カリフォルニアで聞いたところでは、日常のクレジットカード利用から不動産ローンまで、ローン申請者のすべての支払い履歴(お金があり現金派となると支払い履歴がないとして借りられないこともある。一方で借金できるということはそれだけ信用があるとの判断らしい)が審査の対象となり、結果として融資可能額が車両購入予算に届かなかったり、金利が高くなったりするのである。

 南カリフォルニア在住の中産階級であり、ローンやクレジットカードでの支払いトラブルのなかった人が、数年間ビジネスで日本に住んでいたあと南カリフォルニアに戻り、新車を買おうとしたら数年間のアメリカ国内でのローンやクレジットカード利用実績がないとして、審査に時間がかかり、しかも融資額や金利の条件が悪かったといった話も聞いたことがある。

 しかし、2024年秋に聞いたところでは、誰でもというわけではないが、金利0%でオートローンを利用することはそれほど難しくなくなっていると聞いた。アメリカでは依然として政策金利は高めとなっており、過去にはどのブランド系ディーラーでも金利0%を実施していたが、2024年秋時点ではトヨタといった人気ブランドでは日本並みかそれ以上の高めの金利を設定していた。しかし、日産や韓国系、アメリカンブランドでは車種を限定しているものの、金利0%キャンペーンを実施しているようだ。

 いまのアメリカで金利0%キャンペーン実施となれば、いわゆる乱売といわれても仕方のない状況となっている。これを繰り返すとどうなるのかといえば、そのような超低金利キャンペーンを狙って新車購入する客層が定着することになる。一般的にはある程度以上の所得となる人の多い白人をメインとした「得意客」が減り、そのようなキャンペーンがないと新車が買えない層の多い、資産がそれほど豊かではない移民して間もなかったりもする人も多い有色人種系などの客層が目立ってくることになる。

 しかも現地で聞くと、「はじめから完済するつもりのない人が多い」とのこと。つまり、支払い途中で自己破産などされてしまうので、全額回収が困難となることも目立つというのである。債権を安く債権回収業者へ譲渡することもあるようだが、これも結果的には「損切り」となってしまう。

 ほぼローンやリースで新車を購入するのがアメリカ。支払い途中で買い取りなどにより残債を相殺、または許容範囲まで残すことができれば新車へ乗り換えることも多いようなので、再販価値というものが新車購入では重視される。そのため、信頼性の高い日本車であり、しかも乱売を抑止しながら販売し、結果的に再販価値の高いトヨタやホンダに人気が集まることになる。

 日産についてはいままでも乱売傾向が目立っているので、購入を手控える人も増えており、そのため現状でも繰り返し金利0%キャンペーンなどに走っているのを、南カリフォルニアで見かけることが多い。

 南カリフォルニアにおいて、低金利ローン利用については頭金が結構多くなることもあるのだが、乱売に拍車がかかると頭金ゼロでもOKといったキャンペーンまで出てくることも珍しくない(さらには初回から6回ほど支払い不要といった特典が出ることもある)。

 いまの南カリフォルニアでは、街を走る新車でバンパーが落ちてなくなっていたり、ボディが大きく損傷しても修理せずにそのまま乗っている人が目立っている。ローン審査が甘めとなり、新車を買うことはできるが修理のための現金の手もちが少なく用意できないというケースの現れと筆者は見ている。このような状況はかつて、サブプライムローン問題がアメリカに吹き荒れた直前と見えてくる風景が似ている。

 日本ではローン審査が厳格になりつつあり、一方でアメリカあたりでは審査が以前より緩んできているのが実情だろう。とはいえ、諸外国といっても東南アジアではローン審査は厳格化されているので、審査が緩くなっているのは一部地域の話とはなるものの、新車の買い方で世界的な傾向となる、ローンを使うということが日本でもかなり普及してきており、それが販売促進ツールとして、なくてはならないものとなりつつあるのは間違いないといえよう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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