冬の北海道じゃタクシーもバスも軽自動車の女性も「ドリフト」「カウンター」当たり前! レーシングドライバーが語る「雪上走行」の重要性とは (2/2ページ)

海外ではウインタートレーニングの開催は一般的

 かつてはスパイクタイヤが一般的に販売され、北海道のユーザーの多くに普及していたが、いまはスタッドレスに付け替えられ、よりスキッドに対するスキルが磨かれて高まっている。

 雪道で走る場合、スタッドレスタイヤ装着は必須なわけだが、スタッドレスの性能も一様ではない。数年前のタイヤや数万kmも走ったタイヤの場合もある。流れに乗る場合は他車が4WDか2WDか、車種や電子制御のレベルなども見抜いて車間距離や速度差を見計らなければならず、そうしたスペックが不明なら最悪のケースを想定して走ることが大事だ。そうした運転はストレスフルで、決して楽しいとは感じないだろう。

 山岳地域で夜間などに交通量が少ないからとスキッドトレーニングを行うことも違法。公道は限界を試す場所ではなく、限界に達しないよう安全運転に徹しなければならない。

 それだけに運よくクローズドコースを積雪状態で走れたら、千載一遇のチャンスと思って積極的に走る。パイロンをふたつ置いて8の字旋回するだけでも十分。20〜30km/hの低速、低Gでクルマに発生するヨーの発生・収束、タイヤのスキッド量とスロットル制御の関係、電子制御オンとオフなど、さまざまな経験値と高めることができる。

 ただ、走行を繰り返していくうちに路面の積雪が掃け、アスファルトが露出しやすい。一定の低ミューを維持することは難しい。冬季に凍った湖上で低ミューでの走行トレーニングが行える場所も長野県の女神湖など国内に何カ所かあるのだが、氷上においてはスタッドレスタイヤでもグリップは低く、滑り過ぎて難しい。

 欧州では冬季になると自動車メーカー各社がアイストレーニングを開催する。フィンランドのラップランド地域にある大きな湖上に仮設コースを作り、スパイクタイヤを装着して端スピードで走らせる。150km/hでドリフトしたりカウンターステアを当てたり、またタイムアタックするなど高度なトレーニングが毎年行われ(参照:https://www.webcartop.jp/2019/11/458411/2/)、免許を取得したばかりの息子に参加させスノードライビングのスキルアップを願う親御さんも多くいるという。

 ただ、規制や法律で縛り付けるだけではなく、そうした自動車文化の面も日本のドライバーは学ぶべきだと痛感させられるのだ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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