この記事をまとめると
■クルマのスペックでは「パワー」と並んで「トルク」も重要なひとつの指標だ
■トルクの数値が大きければ大きいほど瞬間的にクルマを前に進ませる力が強いことを表す
■パワーは仕事量を表しクルマを進ませる力をどれだけ出し続けることができるかの指標
パワーとトルクは何を示した数値なのだろうか?
クルマのスペック表などをくまなくチェックするクルマ好きであれば、気にしない人はいないといっても過言ではないのが、パワーとトルクの数値だろう。
ただ、一般的によく気にされがちなのはパワーのほうで、たとえば、「400馬力」と聞くとなんとなくすごそうなイメージをもつ一方で、「500Nm」といわれてもイマイチピンとこないという人が多いかもしれない。
パワーもトルクもいずれも力を表す数値ではあるが、性質が異なり、トルクはねじり力を表すものとされている。ねじり力といわれてもイメージしづらいかもしれないが、軸をまわす力を指しており、工具を使ってボルトやナットを締める力と同じもので、「トルクレンチ」という工具があるのもそのためだ。
軸をまわす力が強いということはタイヤをまわす力も強いということで、トルクの数値が大きなクルマほど、アクセルを踏み込んだときの「グッ」というような力強い加速感を得ることができるのである。
そのため、低回転域から太いトルクを発生することができるディーゼルエンジンや、仕組み的にはゼロ発進から最大トルクを発生させるモーターで駆動する電気自動車などは、停止状態からのダッシュでパワフルな加速をすることができるというワケだ。
一方のパワーは仕事量にたとえられ、速度を出すために必要なものということができる。このあたりの関係性は自転車にたとえられ、ペダルを漕ぐ力はトルク、そしてペダルを漕ぎ続ける力がパワーと考えるとわかりやすい。
トルクの数値が高ければ、ペダルをグッと漕ぎ出すことができるため、発進加速は良好になるが、ペダルを漕ぎ続けるパワーがないと、高い速度を出すことができないということを思い浮かべてもらえればイメージしやすいのではないだろうか。
そのため、街なかで俊敏な加速力を味わいたいのであれば、低回転域で大きなトルクを発生する車種を選べばいいし、速度域の高いところで伸びやかな加速を楽しみたいのあれば、パワーの数値が高いクルマが有利ということになるのだ。
なかなか言葉で説明されても難しい部分ではあるが、このあたりのイメージを頭に入れてスペック表を見て、実車を乗ってみると新たな気付きがあるかもしれない。