輸入車にも初期型がいいといわれるクルマはある
マツダ・ロードスター(NA)
デビュー当時からすさまじい人気を誇っていたマツダ・ユーノスロードスター。Vスペシャルはもちろんのこと、後に数多くリリースされる限定モデルの影も形もない時代からのスタートでした。「テンロク」などと呼ばれる、1.6リッター直列4気筒エンジンを搭載したモデルのなかにも「前・中・後期」があり、1989年にデビューした初期型のモデルではデビュー時にATがなかったほどのスパルタンさだったのです(1990年にATを追加)。
当時、人気(というか定番)オプションだった「スペシャルパッケージ」仕様ではなく、あえて素の「標準車」を手に入れることができたら……これは超ラッキー。連綿と続くロードスターの原点を知ることができるのです(ただし、大幅なリフレッシュが必要かもしれません)。
日産 フェアレディZ(Z32)
1989年7月から2000年8月まで、じつに10年以上も生産・販売されたZ32型のフェアレディZ。これほどのロングセラーモデルともなると、デビュー時の1型〜最終モデルの6型までさまざまな仕様変更が行われています。ただし、デビュー当時の仕様が楽しめるのは1型のみ。
とくにジャージ柄のシート/カーペット生地は1型のみであり、2型以降は表皮が変わります。また、3型になるとリヤスポイラーの形状ならびに内装の意匠が変更されるなど、マイナーチェンジを繰り返すたびに少しずつオリジナルの姿から形を変えていくことになります。
Z32型本来のデザイン、そして仕立てを追求するなら1型にこだわりたいところですが、現存する個体がかなり減ってきています。Z32の専門店に想いを託し、極上の1型が出てくるまでじっくりと軍資金を貯めておきましょう。
番外:輸入車編
輸入車で初期モデル狙い……となると、いまだに根強い人気を持つフェラーリF355であれば「PA型(PAシャシー)」と呼ばれるモデルがあります。1994年5月の生産開始から10月までの個体と、F355のモデルライフのなかでももっとも短期間です。PA型のみ運転席および助手席ともにエアバッグなし。
このあとの中期型にあたる「PR型」では運転席に(途中から助手席にも)エアバッグが搭載され、後期モデルの「XR型」では、エンジンマネジメント方式がボッシュ製モトロニックM2.7からM5.2へと変更されています。安全性や排ガス規制に伴う仕様変更を繰り返した時代のクルマでもあるのです。
そしてもうひとつ例に挙げると、「W124型」メルセデス・ベンツEクラスがあります。そのなかでも「500E」と呼ばれる前期型は、当時経営難に陥っていたポルシェに対する救済処置として開発に関与したとされています。専用デザインのバンパーや、張り出したフロントフェンダーはクルマに詳しい人でないと見わけがつかないくらいのさりげなさが魅力です。
また、前期型の生産工程の一部をポルシェ社の工場で行ったことから「500E(後期型はE500に改称)」の人気が高いこともうなづけます。