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乗用車に邪魔がられるリミッター付きの大型トラック! じゃあ速度を上げれば……はドライバーの高齢化も深刻な業界において危険な策 (1/2ページ)

乗用車に邪魔がられるリミッター付きの大型トラック! じゃあ速度を上げれば……はドライバーの高齢化も深刻な業界において危険な策

この記事をまとめると

■2024年4月から高速道路での大型トラックの最高速度が時速90kmへ緩和された

■事故が起きた際の衝突エネルギーは時速80kmのときよりも1.26倍大きくなる

■速度を上げればいいというだけの問題ではないのが実情だ

大型トラックの最高速度を改定へ

 昨年の4月から、高速道路における大型トラックの最高速度が、従来の時速80kmから90kmへ緩和された。

 背景にあるのは、2024年問題といわれた、運転者の労働条件を改善するため、労働時間の規制が強まったことによる。そもそも運転者不足の状況があり、ひとりの運転者が早く仕事を終えたあとの交代運転者の手配が付きにくく、物流に支障が出る懸念があった。国内の物流で9割(運搬トン数ベース)をトラックに依存している国内事情も、それに拍車をかけている。

 大型トラックの最高速度が時速90kmとなることで、単に、物流の移動時間が早まり、モノをより早く届けられる利点のほか、高速道路上で乗用車との速度差があったトラックとの混合交通が、より滑らかになり、車線変更などでの互いの苛立ちを軽減できるとの期待も大きい。

 一方、わずか時速10kmとはいえ、最高速度の制限の上がった大型トラックの走行安全は保たれるのかという疑問は、事故調査などある程度の期間を経てからの統計に依存せざるを得ない面がある。とはいえ、規制が緩和されるトラックとは、総重量が8トン以上の大型・中型トラックを指し、それは、乗用車の4倍前後の重さになる。

 そのトラックの運動エネルギー(K)は、以下の式で求められる。

「K(運動エネルギー)=1/2×M(重さ)×V(速度)の2乗」

 結果、時速80kmで走っていたときに比べ、1.26倍エネルギーが大きくなり、これは、もし事故が起きた際には損害の拡大につながる可能性があるということだ。

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