GT-Rを「ゴジラ」と呼んだアメリカには「モスラ」なるクルマもいた! 謎のスーパーカーの正体とは? (2/2ページ)

第2世代で見事に羽化したモスラ

 なお、金満家の心を知り尽くしたモスラ氏だけあって、最上級モデルGTP LXを設定。これはレカロシート、サンルーフ、エアコン、クルーズコントロールシステム、パワーロック等の装備が追加されたもの。さらに、オプションでセキュリティシステムや車載電話もカタログに載せるなど、バブル期ならではのパッケージとなったのです。

 と、これだけならばわざわざゴジラを引き合いには出しません。モスラさんは、このコンスライアーGTPでレースに参戦し、大金持ちが道楽だけで作った安易なマシンではないことをしっかり証明してみせたのです。

 アメリカでも人気の高いIMSA GT選手権にエントリーしたコンスライアーGTPは6年連続で参戦し、優勝(1993&94年)も収めるなど大活躍。優れたパワーウエイトレシオが奏功したとされていますが、1996年以降は出場停止になっていますので、車重以外にもリーサルウエポンがあり、それがレギュレーションに抵触した可能性も考えられそうです。

 さて、コンスライアーGTPはIMSAに参戦するのと同じころにマイナーチェンジが施され、モスラ・イントルーダー、ついでモスラ・ラプターへと変遷を重ねていきました。とはいえ、基本的なスタイリングはさほど変わることなく、もっぱらエンジンの強化がメインとなった模様。

 ちなみに、ラプターになると漁船の操縦席みたいだったキャビンが、V字2分割スクリーンの採用でより漁船チックになっているのはご愛敬。モスラさんとすれば、空力的なアイディアだったのかもしれませんが、後世のクルマ好きは敬意をこめつつ笑いをこらえているといったところでしょうか。

 こんなモスラのコンスライアーですが、次世代のニューモデルはマクラーレンF1もビックリなスタイリッシュスポーツ、MT900へと進化しています。

 モスラさんの手作りではなく、ドイツのシーメンス製デザインソフトを駆使したとのことですが、これぞ幼虫から成虫へとメタモルフォーゼを決めたモスラ並みの大変身(笑)。なんとか、無理やりこじつけたダジャレ感も薄らいだのではないでしょうか。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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