Vの角度は60度に90度に120度に180度もある! クルマ好きなら知っておきたいV型エンジンの「バンク角」による違い (2/2ページ)

バンク角を広げすぎると振動の問題が生じる

 なかには、バンク角90度という例もあった。ただし、クランクシャフトとの関係で、90度にすると、振動が増え、快適性に欠ける可能性が出る。もちろん、6気筒でもV型にすれば、振動の問題が出るが、90度に比べ60度のほうがバランスウェイトなどで軽減できる道がある。それでも消えるわけではない。

 初代ホンダNSXは、90度バンク角のV型6気筒だった。90度へ広げることで、左右シリンダーの間に隙間を余分に確保でき、ここに吸気制御を行う機能を収めることができた。また、60度に比べ、さらにエンジン全高を低く抑えられ、ミッドシップに搭載するうえでの都合もよかったのだろう。そしてスポーツカーなので、ある程度の振動や音は、エンジンの醍醐味として理解される可能性もある。

 V6で、バンク角を120度にすると、等間隔での燃焼になり調和がとれる。ただそれではエンジンの幅が広がり過ぎ、何のためのV型採用か、車体への搭載面で課題が出る。

 8気筒になると、V型が前提といっていいだろう。この場合のバンク角は90度が一般的だ。独特の振動がV8エンジンの特徴で、その振動はそれほど不快ではなく、力強いV8らしさと好意的に捉えられる傾向にある。クランクシャフトの仕様次第では各気筒が等間隔での燃焼時期になるので、二次振動と呼ばれる揺れはあっても、不快に感じにくいといえそうだ。

 バンク角180度となる水平対向エンジンは、スバルやポルシェで今日も目にする角度だ。向かい合うシリンダーがクランクに180度の位相をもつ設計であれば、互いに慣性力を打ち消すピストンの動きになって、振動を抑える効果が生まれる。

 水平対向は、エンジンが低くなり、低重心になる利点がある。一方、エンジンの下側になる排気は配管の制約を受ける。また、エンジン全幅が広がるので、車体のフレーム幅による横幅の制約が生じ、ショートストロークとなって燃費悪化の懸念が残る。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
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趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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