未使用中古車が勝負のカギか
登録車のみでの上位10車中7車がトヨタ車となっている。とくに注目すべきはアルファードが7581台で3位となっているところ。アルファード&ヴェルファイアは2024年12月20日にPHEV(プラグインハイブリッド車)の追加と、新グレード追加、さらに一部改良を行っている。11月にはアルファードは約8800台を売っているのでとくに多いというわけではないが、改良モデルが販売台数に貢献しているというわけでもなさそうだ。
改良前モデルのバックオーダー処理を引き続き進めた結果、改良月でもランキング3位になるほどの実績を残したのかもしれない。アルファードは2024年は通年で原則新規受注停止が販売現場では続いていた。基本的にはバックオーダー処理のために生産が続けられ、それが納車されることで毎月の販売台数ランキングの上位常連となるのだから、その人気の高さはまさに「信じられないレベル」といっていいだろう。
インドからの完成車輸入モデル同士の争いはホンダWR-Vが2903台でスズキ・フロンクスに勝っている。しかし、ここのところWR-Vは中古車展示場に登録済み未使用中古車をよく見かけるようになった。正月の新聞に入っていた、未使用中古車専売店の折り込みチラシにも目玉車として2台が掲載されていたほど。フロンクスは委託販売車(ナンバープレートのついていない新車)が展示されているのを見かけたことはあるが、筆者は未使用中古車を見たことはまだない。
軽自動車では、ダイハツが全般的に元気のないなか、「ムーヴ・キャンバス」が前年比131.4%でひとり元気な様子を見せている。しかし、ムーヴ・キャンバスは中古車専業店のみならず、ダイハツ系サブディーラーにも未使用中古車が溢れている。「なぜキャンバスばかり」という疑問は残るが、とにかくムーヴ・キャンバスの未使用中古車は多い。
さらに、日産サクラの「息切れ」ともいえる目立つ失速も印象的である。前年同期比60.6%となっており、「ほしい人が買いつくした」ともいえる。2024年秋以降は中古車の流通台数も急速に増えている。購入時に補助金交付を受けていれば4年間は転売できないのが原則なのだが、未経過日数相当額の補助金相当額を還付すれば転売は可能なので、還付する額がある意味「採算分岐点」となり、サクラからほかのモデル(日産車ならばノートなどeパワー車が多いようだ)への乗り換えが目立っているように見える。
所有者の意志というものもあるだろうが、4年後では再販価値の値下がりが酷くなる危険が高いので、新車として販売したセールスマンが、短期間での乗り換えを勧めているといった動きも目立っているのかもしれない。
自販連統計における車名(通称名)別販売ランキングではヤリスが販売トップとなっているが、テレビCMなどで「ノートがコンパクトカー販売台数第1位」というキャッチを聞いて「?」と思った人もいるかもしれない。
これは販売ランキングにおけるヤリスにはヤリスクロスも含まれているため。5ナンバー車のみ、つまり標準車のハッチバックのヤリスのみだと5920台なので、2024年12月単月締めで見ても、ノート(オーラ含む)の販売台数は6476台となり、ヤリスクロスを除くとコンパクトカーではノートが販売台数第1位といえるのである。
2024年12月単月締めが発表となり、改めて2024年の単月締め新車販売ランキングの推移をみると、登録車では年後半になるにつれ、「トヨタ一強」状態に拍車がかかり、軽自動車ではN-BOXが販売トップの地位死守に終始した1年だったといえるかもしれない。