この記事をまとめると
■中国車も韓国車も世界各国で一般的な乗用車ブランドとして受け入れられている
■すでに自動車輸出台数で中国は日本を抜いて世界第1位になった
■韓国のヒョンデ・キアは世界第3位の販売台数を誇るメーカー
アジア圏だけでなく欧米でも人気を獲得!
いつか来ると思っていたが、ついに中国メーカーが日本市場に正式上陸。BYDが日本販売を初めて、早くも2年が過ぎた。多くのユーザーにとって未知数だったBYDだが、全国に販売店を確実に増やしており、それに比例して販売も伸びている状況だ。
また、韓国ヒョンデは2022年に日本再上陸を発表。扱うのはEVと燃料電池車のみでオンライン販売専門という独自戦略が、自動車産業界とユーザーから注目された。2025年には小型EV「インスター」導入を機に、5年以内に販売規模10倍以上を狙う。
そんな中国や韓国の自動車メーカーだが、それぞれ本国以外の国や地域での評判はどうなのか?
まず、中国自動車工業協会によれば、海外輸出が2020年までは年間100万台程度だったものが、2021年には200万台、2022年には300万台と一気に上昇し、直近データがある2024年上半期では279万台に達するほどの勢いがある。すでに、自動車輸出数で中国は日本を抜いて世界第1位なのだ。
なかでも好調なのはEVやプラグインハイブリッド車。タイ、スペイン、オーストラリア、カナダなどで販売されており、各地では「価格が妥当な一般的な乗用車」として受け入れられている。
たとえば、タイでは2023年ごろから、中国ブランドのEVが一気に流れ込んできている状況だ。現状では中国からの全数輸入だが、タイ政府は国内でのEV生産に対する法的な補助を拡充する方針のため、タイ各地で中国メーカーのEV生産拠点の建設が進んでいる。
そのため、タイの人たちにとっては、中国メーカーによる雇用や地域社会の経済発展も含めて、中国ブランド車に対しては好意的な意識が広がっているといえよう。
一方、韓国メーカーの場合、そのほとんどがヒョンデとキアだ。両グループの総販売台数は、トヨタ、独VWに次いで世界第3位という現実を知っている人は、日本では少ないだろう。
つまり、世界各地でヒョンデ・キアは、「ユーザーがクルマを購入する際の選択肢のひとつ」という立ち位置にあるということだ。
筆者の実体験を振り返れば、2000年代前半頃までは、ヒョンデ・キアはクルマとしての完成度として、日本メーカーに及ばないところがあった。そのため、企業として組織変革や外部から人材の取り入れなどを積極的に行い、改善を進めた。
その成果として、運動性能、デザイン、次世代技術など、量産車に求められるすべての領域で進化しグローバルで存在価値を高めていったのだ。
最近、日本メーカー各社の開発部門幹部らと意見交換すると、中国メーカーやヒョンデ・キアの開発技術力や商品完成度の高さに対して、驚きの声をあげることが少なくない。
そうした話を聞くと、自動車産業はいま、本当に大きな転換期を迎えているのだと痛感する。