「GRヤリス Mコンセプト」にも注目
そして、さらなる注目の1台がある。ガズー・レーシングとして2007年からのニュル参戦車両をアルテッツァ、LF-A、86、スープラと並べたコーナーの起点に、「GRヤリス Mコンセプト」、ごく初期のミドシップ化研究車両と思われる1台が置かれていることだ。
搭載されているのは「G20E」、つまり開発中の新しい2リッターターボのパワーユニットだ。Mコンセプトのエンジンルーム内、ところどころに開けられ這わせたパイプの位置や向きからして、かなり熱対策に腐心していることが窺える。隣にはケースに入ったベアのサンプルも置かれ、赤いヘッドカバーがなかなかエキサイティングだ。
これらの展示の背景となるポップでは、「ニュルブルクリンクはモリゾウの原点」というメッセージ、そしてその参戦と挑戦の歴史が語られている。そもそもニュル挑戦でガズー・レーシングを名乗ったのは、会社名のトヨタを名乗ることができず、いまやTGRもラリーやWECあるいはダカールのような世界の檜舞台を闘うリングネーム的な「ワークス名義」となり、「もっといいクルマづくりのために」という大切な原点とは性質を異にしている。
だからこそいま、原点回帰のニュル24時間挑戦であり、新しく開発した車両と、新しい世代のドライバー、そして開発陣や作り手たちで、それは世代交代ごと始めなければならないというのだ。
閑話休題だが、じつはこの日のステージ上のシナリオは、「2025年モリゾウの10大ニュース」だった。10位の「モリゾウの夢のガレージをオートサロンで実現」以外は、まだ今年中に実現してほしいという「予言」であり、「目標」でもある。そのトップ3が「Rが増えた」、「2000㏄(のエンジン)が走り出した」、「ミッドシップが走り出した」ことだ。ちなみに、この2000㏄とミッドシップとニュルはすべて5月のレースやその先にまで繋がっていて、噂されるセリカや、まったく新しいミッドシップスポーツへの含みはもたせたまま、おあずけとなった。
ちなみにGR YARISニュル24h参戦車両のホイールは、世代が新しくなってかなりエボっているとはいえ、モリゾウ初参戦時のアルテッツアと同じくエンケイの「NT03」を履いていた。今年のニュルブルクリンク24時間に向かって、トヨタの世代交代ショーが加速するのかもしれない。