この記事をまとめると
■車検証の型式欄にはメーカーによる型式の前に「E」や「3BA」などの英数字が記される
■型式欄の最初の英数字は排ガス適合記号
■記された英数字により車検に通る排ガス検査の基準が異なる
車検証に記された型式の英数字の謎
クルマ好きは、自分の愛車をZN8(トヨタGR86)とか、ZC33S(スズキ・スイフトスポーツ)、ND5RC(マツダ・ロードスター)といった具合に、車名ではなく、型式で呼ぶことが多い。この型式は車検証の型式欄に書かれている記号だが、呼称として使われている型式の「-(ハイフン)」の前にも、「E」とか「GF」といったアルファベットや数字が記されている。
たとえば現行のフェアレディZ=RZ34は「3BA-RZ34(MT車)」、「5BA-RZ34(AT車)」といった具合だ。
この記号には何か意味があるのだろうか?
もちろんこの記号には意味があり、排出ガス規制適合車を表す「排ガス適合記号」の役割がある。上掲のRZ34でいえば、「5BA」の「5」は、平成30年排ガス規制をクリアし、なおかつ30年基準50%低減レベルを達成して、低排出ガス車認定を受けていることを意味している。同じく2桁目の「B」は、燃料の区別+ハイブリッドの有無で、「B」はガソリンエンジンでハイブリッド車ではないことを表している。3桁目の「A」は用途と重量条件など。「A」は乗用車で平成17年規制のディーゼル車以外。
この排ガス規制、平成17年度以降だけみても、平成17年から平成26年まで毎年変わり、その後も平成28年、平成30年、平成32年と変わっているのでかなり複雑。詳しくは国土交通省の自動車排出ガス規制の識別記号一覧、自動車排出ガス規制の識別記号を参照してほしい。
こうした排ガス適合記号は、正直、ユーザーにはあまり縁のない記号ではあるが、車検のときは、この違いが大きくかかわってくる。
現行の普通・小型車、つまり平成10年規制以降のクルマ(GA/GBを除く2桁・3桁型式)は、車検時の排気ガス検査で、CO(一酸化炭素濃度)が1%以下、HC(炭化水素)濃度が300ppm以下でなければ合格しないが、平成10年規制以前のクルマは、CO(一酸化炭素濃度)が1%以下、HC(炭化水素)濃度が500ppm以下でOK。
ユーザー車検で陸運支局にクルマをもち込んだ場合、平成10年10月2日以前の古いクルマは、排ガス検査を行うときに、プローブと呼ばれるセンサーのついた棒をマフラーに挿入する前に、そのプローブの脇にある車種選択用の機器のCボタンを押下する必要がある(現行車はデフォルトのAボタンのままなので、ボタン操作は不要)。
Aボタンは基準が厳しく、型式が古いクルマは、いまの基準だと不合格になる可能性があるので、このボタン操作を忘れずに。