外装以外も現代流に超進化!
そして、エンジンルームもまたオールドファンが喜びそうな眺め。後期モデルの5.3リッターV12をほどほどにボアアップして5.6リッター化されたエンジンに、(おそらくは)ルーツ製スーパーチャージャーを追加。この際、バンクごとにインテークを新造しているのですが、カーボンとステンを用いた造形の美しさといったらありません。
当時のXJR-Sではザイテックの独立ポート制御を用いて350馬力程度だったものが、スーパーキャットは660馬力/7700rpm、730Nm/5350rpmへと飛躍的なパワーアップ。高回転・高出力化に伴って、ドライサンプ化されているのも見逃せないポイントかと。
こうしたパワーに合わせるべく、XJ-Sのフレームを用いたスーパーキャットではスチール製チューブラフレームが追加されています。その結果、カーボンボディを架装しながらも軽量化は9.3%(1770kg→1605kg)にとどまることに。
当時から重量級ではあったのですが、スーパーキャットにはカーボンセラミックブレーキや、トラクションコントロールを追加することで運動性能を担保。また、トムがぶっ飛ばした当時と同じくビルシュタイン製ダンパーながら、当然中身はグレードアップがなされているはずです。
また、ささいな変更となりますが、XJ-Sについていたミニミニ後部座席は実用性がないことから省かれてラゲッジスペースに替えられたほか、メーターパネルはデザインこそ往年のアナログ針式ながら液晶パネルに。ついでにアップルのCarPlayを装備して、今風のツーリングも楽しめるという気配りもなされています。
ファーガス率いる新生TWRは、このスーパーキャットを88台の限定で2025年の夏からデリバリーを予定しています。いうまでもなく、88という数字はトム・ウォーキンショーがXJR-9でルマンを制覇した1988年にちなんだもの。
価格は日本円にして約4400万円と、近頃のレストモッドに比べればはるかにお買い得かと。もっとも、全車が売り切れたあとはご多分に漏れずプレミアが上乗せされること目に見えていますけどね。
なお、スーパーキャットにはアメリカ在住のイギリス人クリエイター、マグナス・ウォーカーもかかわっているとのこと。一時はポルシェのコレクターとして名を馳せたウォーカーですが、やっぱり英国気質どころかTWRの活躍には胸をときめかせていたようで、スーパーキャットをさらにカスタムしたマシンを購入したのだとか。
いずれにしろ、TWRのコメントどおり「レストモッドではなく、トラディショナルとモダンが融合したアナログカー」というスーパーキャットは、次世代のスペシャリティカーを表徴するものとして素晴らしい作品に仕上がっているのではないでしょうか。