【試乗】ステアリングに神降臨! アメリカで乗った新型BMW M235グランクーペのイケてる大人を吸い寄せる魔力 (2/2ページ)

まるでステアリングに神が降りてきたような走り

 まずはデザインチェックから。1シリーズと同型のプラットフォームを使うが、ボディパッケージはハッチバックではなく、大人が楽しめるセダンベースのカッコいい4ドアクーペだ。その原点はインプレッサやランエボではないかとBMWのエンジニアに問いただすが、さすがにこの2台は知らないらしい。それよりも、BMWは美しいクーペスタイルに4ドアセダンという機能を合体させたから、どうですか? と自信をのぞかせる。じつはドイツのデザイナーが重視する思想は「バウハウス」。これは「美は機能をフォローする」という意味で、セダンという機能と美を融合させたデザインと理解できる。

 こうしたセダン・クーペスタイルを、イケてる大人がほしいと思うのは私だけではないだろう。M3までの性能は要らないが、そこそこ早いセダンがほしいのだ。日本では「セダンはオワコン」と考えがちが、アメリカの若者はどうやら「セダン好き」になっているようだ。

 コクピットに乗り込み早速ドライブするが、太めのステアリングホイールをグリップするとBMWのMモデルだと気づく。BMWの工場に隣接するテストコースで200キロ近いスピードで走ることができたが、M235はFFベースのAWDで、エンジンは2リッターターボ。ギヤボックスはミニと同じツインクラッチの7速だ。だから小気味よくギヤチェンジが楽しめる。もちろんエンジンのレスポンスは文句ない。

 ハンドリングは秀逸だ。まるでステアリングに神が降りてきたような正確なライントーレスをもつ。BMWはアルファロメオと同じく、アンダーステアを嫌い、ステアリングに魂を込めている。70キロくらいで旋回するコーナーを攻めると、まるでゴーカートのような感覚だ。これはミニと同じだ。やや路面が濡れていたが、タイヤが滑りそうになると、「DSC」が的確にブレーキ制御を介入させ、クルマを安定させる。ブレーキも満足できる。踏力に対してビルドアップが高く、初期のブレーキGが瞬時に立ち上がる。グッと減速Gが立ち上がる。ペダルフィール、多少ストロークするので、一般道路でも使いやすい。

 公道では乗り心地中心に評価したが、ダンピングが利いたライドフィールは悪くない。ときおり、荒れた路面ではタイヤとサスペンションの硬さが気になったが、BMWネスを好むなら、十分に許容できるものだろう。

 高速道路ではないが、流れがよい公道ではADASを試すが、先代モデルよりもさらに進化し、とくにステアリングの車線トレース性は素晴らしかった。今、この領域の技術では、テスラとBMWが機能的に進んでいる。M235は2025年中に日本で市販されるが、セダンオワコンではないM235グランクーペの魅力を日本でも味わいたい。


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