駅からの足はバスやタクシー……の時代が終わる可能性! JRがライドシェア事業に手を出す理由 (2/2ページ)

バスやタクシーを動かすよりもライドシェアのほうが安価

 2024年12月6日、JR東日本は国土交通省へ2026年3月予定として運賃改定(つまり値上げ)の申請を行ったことを発表している。今回の値上げの背景についてさまざまな理由を説明しているなかで、コロナ禍後の生活様式の変化(リモートワークの普及など)で利用客が減少していることをあげている。また沿線人口のさらなる減少などもあるようだ。

 つまり、少子高齢化に歯止めのきかないなか、今後現役世代の人口減少も顕著となり、JR東日本圏内であっても鉄道住民による利用減少というものが顕著なものとなるのは明らか。

 いままでは、何もしなくても通勤や通学で沿線から駅へ鉄道利用者が集まっていたが、今後はJRだけではなく多くの鉄道事業者も駅へ利用者を呼び込む、つまり駅へのアクセスの確保努力など、鉄道をより利用しやすい環境整備へ積極投資しなければならなくなってきているものと筆者は考えている。

 しかし、いままでのようにバス事業者やタクシー事業者に頼ることも難しい。働き手不足で路線バスの減便や路線廃止が進み、タクシー運転士が不足しているだけならまだしも、地方で小規模経営している事業者では、事業継承せずにそのまま廃業といったことケースも今後目立ってくるとされている。もはや「他力本願」ではなく、自力で駅へ利用客を呼び込まなければならない時代になったことを、今回のライドシェア事業参入を見て感じた。

 首都圏をみると、一部私鉄と呼ばれるJR以外の鉄道事業者では自社沿線の駅前に自社タクシーを駅待ちさせ、自社路線バスを沿線で運行しているケースもある。これらのバスやタクシー会社は「民鉄系」とも呼ばれ、全国的にも鉄道、バス、タクシーを運行する事業者は存在するが、一時期は民鉄系バスやタクシーをなくす動きも目立っていた。しかし、現状を踏まえ、再び自社でバスやタクシーを運行するほどの体力は、さらなる将来を考えると温存しておきたいだろう。そこでJRもライドシェアサービスに着目したものと考える。

 通勤には自宅最寄りと駅の間はバスを利用して鉄道を利用し、残業や会食などで帰宅が夜遅くなりバスの運行が終了していたらタクシーで帰宅できる、昭和のころにはベッドタウンと呼ばれる地域などでは当たり前であった風景がどんどんなくなってきており、鉄道事業者だけではなく自治体なども対応に追われているのがいまの日本の現状なのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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