メルセデスとプジョーとリープというBEVを扱う輸入車ディーラー
続いて、メルセデス・ベンツとプジョー、そして最近中国系でステランティスグループ傘下のBEV(バッテリー電気自動車)「リープ」を扱うことになった老舗ディーラーに向かった。
興味深いのは、メルセデス・ベンツ車をほしがる人とプジョーをほしがる人の間では所得層が異なるというものの、趣向性という面では購買層に大きな違いはないそうだ。つまり、「ドイツ車派」、「フランス車派」などといった日本のような母国がどこかというような選択肢はほぼなく、「いいと思ったらたまたまプジョーだった」というようなノリになっているとのことであった。
事実、店を訪れたときにたまたまプジョー5008の納車式を行っていたのだが、購入した夫婦はマツダCX-8と比較検討したとのこと(マツダは中産階級でかなり人気が高い)。新車購入の際には試乗が購入車種決定に大きな影響を与えるようで、この夫婦も奥さんが5008を試乗して気に入ったので購入したそうだ。またKLIMSの会場でも声高に紹介されていたのだが、保証内容も車種決定には大きな検討材料になっているとのことであった。
この店でのローン利用率は95%となっていた。ここでも、年末駆け込み需要というものを狙っているとし、現金一括払いならば好条件を提示するとのことであった。
最近扱い始めたリープ車については、話を聞いたセールスマンはすでに2台を販売したそうだ。1台は初めてBEVに乗る人で、もう1台はすでに中国BYDのATTO3を乗っていて増車として購入したとのことであった。
ただし、話を聞いた限りでは充電インフラなどの環境整備が不十分ということもあり、買う側も売る側もBEVはまだまだ敷居の高い乗り物というイメージをもっている人が多いように思えた。そんななかでリープを扱い始めたのは、プジョーユーザーなどが「BEVがほしい」となったら、他メーカーに流れる前に自社で販売したいとの狙いもあったようである。
東南アジア地域というか、日本以外では現金一括払いというのがほとんど存在しないことがほとんど。そんななかでプロドゥアのローン利用率が80%とやや低いのは、「新車がほしくて一生懸命お金を貯めて購入した」といったものがイメージでき、政府が国民車ブランドを設けた背景の一端を垣間見た気がした。
すでにマレーシアでも郊外在住の中産階級以上の所得層では、自動車の複数保有は当たり前のようになってきている。日本ほど明確ではないものの、国民車ブランドと外資ブランドを、日本における日本車と輸入車(外車)のようにわけることで自動車の普及をはかるとともに、国民車ユーザーが「頑張って次は日本車などの外資ブランド車を買うぞ」と奮起させて所得を上げさせていく、そんな国策めいた狙いもあるのかなあと今回ディーラーを訪れて感じた。