WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

タクシー業界が管理するから日本版ライドシェアが普及しない! 日野がライドシェア問題に乗り出した

タクシー業界が管理するから日本版ライドシェアが普及しない! 日野がライドシェア問題に乗り出した

この記事をまとめると

日野が自家用有償旅客運送の運行管理受託サービスの拡充に向けた実証実験を開始

■通信型のドライブレコーダーを用い運行管理を効率化しているのが特徴だ

■サービスが実現すればライドシェアが抱えている問題を解決できるかもしれない

管理者が車両の状況を常時把握できる

 日本版ライドシェアと呼ばれる、一般のドライバーが自分の乗用車(タクシー会社の車輌も使える)を使って乗客を運ぶサービスは、段階的に導入されているが、課題はいろいろと山積している。

 そのひとつは安全性を担保するべくタクシー会社が運行管理をしていること。これはドライバーの適性を見極めたり、健康管理などを考えるとアプリで簡単にライドシェアに参入できるようになるのは危険だという考え方もわかる。

 しかし、運行管理だけでタクシー会社が売り上げの半分をもっていくのは、やや暴利である印象だ。通常のタクシーでもその程度であり、タクシーの場合は車両コストを会社が負担しているからドライバーの売り上げの半分をタクシー会社が受け取るのは納得できる。

 タクシーと同程度の料金設定にするためにタクシー会社の管理手数料を高く設定しているのならば、ユーザーを無視した本末転倒な理由であるし、ライドシェア導入によってタクシー会社の売り上げが下がることの埋め合わせというならば、ライドシェアが稼働可能な時間帯などを規制しているのと矛盾する。

 そんな状況では、ライドシェアの乗客もドライバーも増やすのは難しい。地方ではタクシードライバー不足を補ってもらおうとライドシェア導入を申請するタクシー会社も続出しているが、ドライバーの成り手がいなければ絵に描いた餅だ。

 そんななか、ライドシェアの運営にタクシー会社以外が乗り出す可能性が出てきた。日野自動車が自家用有償旅客運送の運行管理受託サービスの拡充に向けた実証実験を開始している。

 従来から自治体ライドシェアについては日野自動車がこれまで培ったバスやトラックの知見を活かした運行管理受託サービスを展開してきた。およそ1年が経過したことから、新たなサービスへと進化させるための実証実験を開始したのである。

 これは通信型のドライブレコーダーを用いることで、運行管理を効率化しているのが特徴だ。GNSS(GPSを含む人工衛星による全地球航法衛星システム)により、車両の走行状況を運行管理者がリアルタイムで把握できるほか、運転の質や安全性も判断することができて、作成するのが面倒な日報も自動作成してくれるなど、数々の強みがある。

 現時点ではどちらかといえば乗合型のサービスが多い自治体ライドシェアだが、今後はタクシー会社が運営している乗用車利用のライドシェアにも日野自動車のサービスは適応するので、自治体ライドシェア以外にも運行管理を委託する民間のライドシェアが出現するかもしれない。

 日野自動車の運行管理システムであれば、タクシー会社ほどの手数料を必要とせず、運行管理が行えるから、ユーザーにはもっと手軽な料金で、そしてドライバーの利益率も向上するに違いない。

 日本版ライドシェアに理解を示しているようで、じつは普及を妨げたいタクシー業界にとって、日野自動車の運行管理システムは脅威となるかもしれない。

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了