ただの軽トラが秒で給水車に早がわり! 「ウォーターキャリア」は超注目の災害対策アイテムだった

この記事をまとめると

■ウォーターキャリアとはクルマで運べる水供給システム

■軽トラックの荷台に搭載できるタイプが発売された

■容量は350リットルで折りたたんで収納することも可能

タンクの容量は350リットル!

 地震や集中豪雨といった自然災害が起こって避難生活を余儀なくされたときに、もっとも必要なもののひとつに挙げられるのが「水」である。能登半島地震でも一部地域の断水が続いて、住民が不便な生活を強いられたことは記憶に新しい。自衛隊や自治体の救援活動を見れば明らかだが、「水」の運搬には通常タンクローリー車が使用される。この車両は特殊なものであり、どこにでも常備されているわけではない。「水」が必要な事態になったときには、まず車両の手配から行わなければならない可能性があるということだ。

 一般に個人家庭や町内会レベルで「水」を備蓄する場合は、飲料用水の入ったペットボトルであることがほとんどだ。しかし、被災地に必要な「水」はそれだけではない。風呂、洗濯、洗い物、トイレの洗浄などといった、生活用水も大量に用意しなければならないのである。これらは川や池などの「水」でも使用可能なことが多いのだが、それを大量に揚水、運搬するためには、やはりタンクローリーなどといったものが必要になる。

 こういった問題を少しでも解決しようと開発されたのが「ウォーターキャリア」と呼ばれるターポリンで作られた貯水タンクだ。ターポリンとは、ポリエステル製の布を軟質の合成樹脂フィルムで挟んだシート状の生地のこと。耐久性に優れているという特徴から、テント、鞄、横断幕、荷台シートなどといった、風雨にさらされたり強い力がかけられたりするような、ハードな使用状況で多用されている。

 今回発売されたのは、このタンクを軽トラックの荷台にマッチさせたタイプだ。軽トラックは各所で多数使用されており、タンクローリーよりはるかに調達が簡単である。これに「ウォーターキャリア」を搭載すれば、タンクローリーがなくても相当量の生活用水の供給が可能になる。タンクの容量は350リットルでシート製だから、使用しないときは折りたたんで収納することができる。従来の貯水タンクやポリタンクのように、使用しないときに置き場所に困るようなこともないのだ。

 付属の水中ポンプは、水源に沈めて使用するタイプ。電源は12Vシガーライターソケットを使用するので、軽トラックから電気を直接供給することができる。電源コードの長さは5mあり、少々水源との距離があっても問題はない。このポンプは、タンクから水を供給する際にも使用する。

 水の吸引、排出に使用するホースはΦ15(10m)とΦ25(1m)の2種類が用意されており、ホース接続コネクター(口径の違うホースを接続)やホースバンド(大2個・小1個)を使用することで、状況に合わせて臨機応変に対応が可能である。

 タンクは平台にちょうど収まるサイズだが、揺れなどを防ぐためにゴムバンドで固定する。タンク上部にある開口部はファスナーで開閉する構造になっており、広く開くことができるので掃除などのメンテナンスがしやすい。ファスナーは高性能止水タイプを使用しているので、水漏れの心配はない。このように、性能はもちろん汎用性が高く手軽に運用できることが、注目されている理由のようだ。

 水源の確保や運用方法を予め検討することで、町内会、会社、学校といった組織単位の防災グッズのひとつとして、活躍が期待できるアイテムなのではないだろうか。


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