クレーンの移動と一緒に立ち入り禁止エリアも移動できるだと!? 画期的アイディアの「柵っとバリケード」が超スグレモノだった

この記事をまとめると

■建設現場で作業をする作業員には危険が伴う

■バリケードは安全に寄与する反面設置に時間がかかる

■新たに開発された「柵っとバリケード」について解説

立ち入り禁止エリアをサクッと設置!

 日々、大規模建設現場で活躍する大型クレーン。重い資材を軽々ともち上げるパワーは驚嘆に値するが、その作業は安全を考慮して細心の注意を払いながら進められなければならない。とはいえ、工事現場では多くの作業員がさまざまな仕事をしているので、クレーンが稼働しているときは彼らが危険域に近づかないように、何らかの対策をしなければならないのである。

 危険域(立ち入り禁止域)を示すためには、何らかの物理的な目印やバリケードを設置する必要がある。そこで、重宝されていたのがパイロンや単管バリケードなどだ。これらは安価でコンパクト、設置が簡易であるなどといったメリットがあるのだが、クレーンが移動するごとに設置しなおさなければならない。しかも、この移動はオペレータが担う場合が多いので、作業時間が長くなる要因になっていた。

 2024年問題に代表されるように、現場仕事は人手不足が深刻化している。それは、建機オペレーターも同じこと。まして、大型クレーンのオペレーターは危険の伴う仕事であるだけに、熟練の技を持つ人材が業務につかなくてはならない。立ち入り禁止区域のバリケードを作るなどといった仕事に、時間を費やすのは非効率極まりないといえよう。

 そこで開発されたのが「柵っとバリケード」なのである。これは、土木、建築、産業関連機械をレンタルする「レンタルのニッケン」が、土木、建設業の「竹中工務店」やクレーン工事に強い「アルモ」と共同で開発した、マグネット固定式の立ち入り禁止エリア設置用バリケードだ。

 大型クレーンが作業をするときは、「事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、運転中の車両系建設機械に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に、労働者を立ち入らせてはならない」と、労働安全衛生規則に定められている。例外として、「誘導者を配置し、その者に当該車両系建設機械を誘導させるときは、この限りでない」となっているが、別途誘導員を配置すれば人件費がかかる。そこで、オペレーターがパイロンや単管バリケードを使用し、立ち入り禁止エリアを設定していたのだ。

「柵っとバリケード」もオペレーターが設置するのだが、その作業は非常に簡単だ。パーツはアルミポール、固定台座、紅白ポール、トラロープで構成されており、これらを組み合わせることでエリアの設定が完成する。固定台座には強力な磁石がついていて、それをクレーン本体に装着する。固定台座にアルミポールを取り付けて、その逆側に紅白ポールを立てる。すなわち、クレーン本体からカニのように足が伸びた状態になるわけだ。足は状況に合わせて6本や8本といった具合に取り付け、紅白ポールをトラロープで結べば立ち入り禁止エリアが出来上がるのである。

 この危険域設定にかかる時間は、パイロンや単管バリケードを使用する場合に比して大幅に短縮されるが、「柵っとバリケード」が優秀なのはそれだけではない。クレーンは作業に応じて移動するが、このバリケードはクレーン本体に磁石で取り付けてあるために、クレーンと一緒に移動することが可能なのである。すなわち、クレーンの移動に伴って立ち入り禁止エリアの作り替えをする必要がないのだ。

 現場を知る企業がタッグを組んだからこそ、実現したアイテムだといえるのではないだろうか。


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