この記事をまとめると
■海外ではさまざまな企業がライドシェアサービスを提供している
■マレーシアではライドシェア運営会社によって専用の乗降場が設けられていた
■近くの乗降場を迎車地や目的地として指定できるために効率的だ
専用乗降地を設けるライドシェアサービス「グラブ」
海外においては、その国や地域によってライドシェアサービスを提供するメインプラットフォーマーが異なっている。南カリフォルニアではウーバーとリフトというふたつのライドシェアサービスが目立っている。東南アジアではウーバーが事業をグラブに売却しており、タイ、インドネシアそしてマレーシアと訪れた国々ではそのグラブがメインとなっていた。インドではウーバーが強みを見せている。世界的にライドシェアを展開しているウーバーであるが、インドのウーバーが世界一安く、便利に使うことができるとされている。
ライドシェアの利用方法は、日本でおなじみのタクシー配車アプリと同じように、スマホの配車アプリを開き、自分の現在地から目的地を入力してマッチング申請すると、近くにいるライドシェア車両をマッチングして迎えに来てくれるので、それに乗車して目的地に向かうことになる。タイではマッチングさせるときにライドシェア車両のほかにタクシー車両も選択してマッチングさせることができる。
筆者はバンコクでよく利用するが、街なかをタクシーが多く走っているのでタクシーをマッチングすることが多い。ただしタクシーはメーター料金(ライドシェア車両は乗車時に料金決定)となるので、ライドシェア車両よりも料金が高くなることが多い。
日本のタクシー配車アプリでも同じようなことが起きているのだが、ドライバーが不慣れな場所へ迎えに行くときに迷うことが多い。路地をひとつ間違えるとか、建物の手前で待っているといったこともそれほど珍しくない。目的地についても迷うこともしばしば発生する。
マレーシアではそのようなトラブルを回避し、ストレスなく利用できるためにさまざまな場所にグラブの停車場所が設けられていた。たとえば街なかでグラブ車両を呼びたいなということになったら、近くにあるグラブ車両の乗降場所へ迎えにきてもらえばドライバーもわかりやすいし、乗車希望する人も目的地近くに乗降場があれば、そこを指定さえすれば、ドライバーが迷うのではないかど不安を感じなくても済む。
筆者が最初にこのグラブの乗降場を発見したのは、KLセントラルというクアラルンプール市内中心部から延びるモノレールの終点駅であった。LRT(高架電車)との乗換駅となるティティワンサ駅のクルマ寄せにグラブの乗降場所が用意されていた。モノレール駅に近いクルマ寄せにはグラブDが、LRTの駅に近いクルマ寄せにはグラブCという乗降地点が用意されていた。
たとえば自宅からこのティティワンサ駅へグラブを使って移動するときに、LRTに乗りたければグラブC、モノレールに乗りたいのならグラブDを指定してマッチングさせれば、乗車後に「駅のどのあたりにクルマつければいいのか」といったやりとりもなく、自分の希望する場所にクルマを停めてもらうことができる。
駅のクルマ寄せのような場所だけに設けられているのかと思いきや、繁華街の目抜き通りにも乗降場が用意されていた。繁華街でも乗降場があれば乗車するときも降車するときも、ドライバーは迷うことなく向かうことができるし、ライドシェアを利用する人も余計なことを考えずにマッチングさせることができる。
このような合理的な発想は日本人が思いつくことではないかと感じた。マレーシアはかつて日本の高度経済成長を参考にした「ルックイースト政策」で国を発展させている。このようなことを思いつくのもそんな背景が影響しているのかもしれない。